出版社内容情報
車の座席で戯れる男女に憎悪を燃やす若い運転手、愛人に裏切られた初老の男。二人の男の接点に生じた殺人事件を描く表題作等5編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
47
清張作品を手にするここ数年の目的は作中に生まれ故郷を探すことなのだが、今回も上諏訪、甲府の地名に頰が緩む。「今にふいに幸運が来そうで、彼はそれをひたすら待った。」など短くて心情があふれたフレーズにハッとする。2020/11/07
佐島楓
41
男女が絡む話、先が読めてしまう話が多く、個人的にはストライクという作品集ではなかった。けれど、物語の持っていきかたはやはり清張という感じ。2015/09/12
きょちょ
27
小品5作。 一番面白かったのは、「たづたづし」で、これはサスペンス要素にあふれハラハラドキドキ感があった。 表題作は中編、まあまあ面白く読めたかな。一応、結末工夫してある。 「暗線」は、殺人事件はない。この手紙を読んだ相手はどう感じただろう。 「結婚式」は、夫婦のありかたを考えさせる作品だが、こんな出来の良い嫁もらっておきながら、はっきり旦那が悪いよ(笑)。 「影」は、作家だからこそ書ける作品なのだろうな。 ★★★2019/08/29
りんだりん
19
若い男と水商売風の女を乗せたタクシー運転手、同じ父の子として生まれながらエリートの道を進む男と暗い人生を送る男、若くて美しい女性社員とその女を囲った中年男の社長、妻子ある官庁の課長である男と刑務所にいる前科者を夫に持つ女、書けなくなり始めた大家とゴーストライターの男。収録された短編5つに出てくる登場人物をみただけでもとてつもなく興味がわく。そして、実際読むと期待以上の作品ばかり。人間の内面をしっかり書ききる筆者の真骨頂が味わえる作品。★32022/07/28
黒猫
18
松本清張さんの短編集。人間の内面性を生々しく書いている。通するのは主人公が、行動に至る過程である。誰が犯人か?を予想しながら読み進めたい読者は、物足りないかもしれないが、松本清張さんの特徴はどんでん返しでも、奇抜なトリックでもなく淡々と、人の気持ちの移り変わりを書いていて、だからこそ時代が変わっても面白いんだと思う。この短編集で、面白かったのは表題の「眼の気流」。タクシー運転手からみた人間観察が面白い。「結婚式」。女性が結婚にいたるにはいろいろあるんだなぁと勉強(笑)ほかも面白いです。次はなに読もう!2016/10/20