感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masakazu Fujino
8
本箱の隅に仕舞い込んでいたこの本を引っ張り出してきた。1980年3月5日のスタンプ(購入)。43年ぶりに初めてきちんと読んだ。 1955年〜56年の佐賀県(本書ではS_県)県財政の破綻で小中学校教諭の給与遅配・欠配、定期昇給停止、さらには小中学校教諭7000人のうち、2600人を馘首する(10年間で)計画のもと、肩たたきの実施。こうした状況を跳ね返すため、組合に結集しながら、さまざまな葛藤を抱えて仕事をしていく教員たち。教員たちの様々な姿や考え方がプラス面もマイナス面も含めて描かれている。2023/05/19
Penn
1
実家に眠っていた父の蔵書から。昭和30年代初頭の、地方都市の貧しさが様々な形で迫ってくる。生きるために長期欠席をしている児童、1クラス60人に迫る児童数、薄給にあえぎ、退職勧奨を受ける教師。この物語の面白いところは、多くの教師が戦前・戦後を通じて教職にあり、自ら矛盾した内容を子供たちに教育してきたという後ろめたさを抱えているところにある。だからこそ、戦後の民主教育を守り、復古主義に激しく抵抗している。戦後も、戦前の価値感に縛られた親世代の桎梏から、教師たちがどのように子供を育てようとしていたのかも面白い。2020/09/27
くまさん
1
時代は昭和30年代と古いが,人間の考え方,特に一人ひとりの子どもの姿が実際にいるように感じられた。人のエゴや生き方を考えるにはよい本だった。2014/07/31