出版社内容情報
(中村政則)
昭和と改元されて7か月後、芥川龍之介は「唯ぼんやりとした不安」から自殺をとげた。その予感は正しかった。普選の実施による民衆の政治参加、都市のモボ・モガ、映画の流行など、華やかさのかげで日本をおおう暗雲はその影を濃くしつつあった。昭和2年3月に始まった金融恐慌は、2年後の世界大恐慌とあいまって、日本に大きな変貌を強いることとなったのである。
内容説明
「唯ぼんやりとした不安」芥川龍之介が死に際して残した言葉は、昭和初年の国民の感情を言い表わしていた。金融恐慌につづく世界大恐慌、浜口首相の狙撃など相次ぐテロ、そして張作霖爆殺事件…に揺れる昭和初期の実相を描く。
目次
昭和の開幕―はじめに
金融恐慌
中国侵略への布石
デモクラシーの岐路
ロンドン軍縮会議
金解禁
大恐慌と日本経済の破局
恐慌と独占
不景気と世相
破局からの脱出