大審問官スターリン

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  • サイズ A5判/ページ数 319p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784093875271
  • NDC分類 702.38
  • Cコード C0095

出版社内容情報

20世紀ロシアの政治家と芸術家の葛藤劇

帝政ロシアで秘密警察の手先となった過去をもつスターリンは、自らのこのトラウマを癒すため、多くの人間を「粛清」の名目で抹殺してきた。ショスタコーヴィチ、プロコフィエフなどの音楽、ゴーリキー、ブルガーコフ、パステルナークなどの小説、マヤコフスキー、エレンブルクなどの詩、エイゼンシテインなどの映画―どれをとっても20世紀ソ連の芸術作品は美しいものばかりだ! 自由のないところに、真の芸術作品は生まれるのか? スターリンのモノローグをまじえながら、芸術家を巻き込んで繰り広げられたソ連秘密警察の大テロルの裏面をえぐる迫真のドキュメント。

内容説明

芸術とは、権力とは何か?神は存在するのか、しないのか?ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、パステルナーク、ゾーシチェンコ、エイゼンシテイン、ドヴジェンコら、世界的な芸術家、作家たちと歴代の秘密警察長官を巻き込み、スターリン支配下に現出した恐るべきテロルの実態をえぐる迫真のドキュメント。

目次

第1章 奇跡―大審問官の誕生(事件ファイル1 レーニン死す;事件ファイル2 フルンゼ「謀殺」 ほか)
第2章 暗雲―二発の銃声(事件ファイル3 マヤコフスキー自殺;事件ファイル4 キーロフ暗殺 ほか)
第3章 神秘―大テロルの時代(事件ファイル5 ゴーリキー毒殺;事件ファイル6 ブハーリン銃殺 ほか)
第4章 聖戦―ナチス・ドイツとの闘い(事件ファイル7 トロツキー暗殺;事件ファイル8 「カティンの森」虐殺 ほか)
第5章 権威―「われは国家なり」(事件ファイル9 ソロモン・ミホエルス暗殺;事件ファイル10 スターリン死す ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

傘緑

38
スターリン期の苛烈な(事後)検閲に関して、著者は余談のような形でタルコフスキー『鏡』の一節を引く。「印刷所に勤める主人公の母親が降りしきる雨のなか血相を変えて職場に急ぐシーンがある…友人に自分が勘違いした誤植について耳打ちすると、二人は同時に噴き出す…誤植とは、おそらく、『スターリン』と『スラーリン』の一字違いにあったにちがいない、と。ちなみに『スラーリン』とは、『スラーチ』すなわち『糞をする』を連想させる」今まで見過ごしていたが『鏡』のこのシーンはスターリン時代の検閲を知らないと味わえないシーンなのかも2017/06/16

1
スターリンと芸術家達の間を想像しスターリンの深層心理に迫る本。グルジア人である彼がソ連の最高指導者になれたのはレーニンに対抗し完全な国家システムを作り上げようとする確固たる意志とそれを遂行する為に反思想を徹底的に排除する粛清の敢行だった。この理論だとロシア・アバンギャルドで隆盛を極めていた芸術家達を「資本主義的思想の反共産団体」として最初に標的としたのも理解しやすい。地下組織団体出身であったことやスターリン支持者で構成された政治システムであることで偏執病も加速したのだろう。第二のスターリンが出ないことを。2011/08/23

INTERNATIONAL

1
スターリンについてはその築き上げた独裁体制のみならず、捻じ曲がった個性によりスターリン個人に対しても大きく関心が寄せられるが、「完全への妄執」という見解は秀逸だと感じた。即ち、「完全への猛執は結局のところ他者の完全な喪失と重なりあう」ことになる。スターリン以外誰も安全ではないのは当然だった。もし安全であろうとしたら自らスターリンになるしかない。2009/09/25

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