荒野へ

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  • サイズ B6判/ページ数 287p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087732665
  • NDC分類 936
  • Cコード C0097

内容説明

1992年4月、ひとりの青年がアラスカ山脈の北麓、住むもののない荒野へ徒歩で分け入っていった。四か月後、ヘラジカ狩りのハンターたちが、うち捨てられたバスの車体のなかで、寝袋にくるまり餓死している彼の死体を発見する。彼の名はクリス・マッカンドレス、ヴァージニアの裕福な家庭に育ち、二年前にアトランタの大学を優秀な成績で卒業した若者だった。知性も分別も備えた、世間から見れば恵まれた境遇の青年が、なぜこのような悲惨な最期を遂げたのか?クリスは、所有していた車と持ち物を捨て、財布に残った紙幣を焼き、旅立つと、労働とヒッチハイクを繰り返しながらアメリカを横断、北上し、アラスカに入った。著者のクラカワーは、大学卒業後のクリスの人生を追いかけ、その時々にクリスと触れ合った人びとを捜し出してインタヴューし、彼の心の軌跡を検証する。登山家の著者にとって、クリスの精神は理解できないものではない。また荒野に魅せられた人びとというのは、昔からいて、さまざまな作品や記録が残っている。こうした精神史や自らの体験も踏まえ、共感と哀惜の念を込めて、クリスの身に何が起こったのかを描き出す。出色のノンフィクション。

目次

アラスカ内陸部
スタンピード・トレイル
カーシッジ
ディトライトゥル・ウォシュ
ブルヘッドシティ
アンサーボレッゴ
カーシッジ
アラスカ
デイヴィス・ガルチ
フェアバンクス〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ペグ

34
読友koheiさんお勧めの一作。クリストファー ジョンソン マッカンドレス。アラスカ、マッキンレー山、北の荒野にて死体が発見される。何故裕福な家庭に育ち学業も優秀でスポーツマンのエリートがこの様な死に方をしなければならなかったのか?トルストイに傾倒しソローの森の生活に憧れ愛読書はジャック ロンドンの作品達。マッカンドレスが求めた幸せとは何だったのだろう?答えは本人以外誰も判りはしないが著者は感情を抑え、マッカンドレスの足跡を辿った。もう一度幸せとは?と考えさせられる作品だった。2016/04/05

田氏

20
才覚に恵まれながらも、放浪を続け、無謀な軽装備で踏み込んだアラスカの地で衰弱し果てた青年、クリス・マッカンドレス。彼と同じように命知らずな冒険に出たのは、著者ジョン・クラカワーも同じである。しかし、それは決して、死の願望をはらむものではなかった。実質的な自殺と批判されたクリスのアラスカ行も、同じくそうだったのだろう、というのがクラカワーの見立てだ。それを裏付けるように、クリスは最期に「幸せな一生だった」というメモと、微笑んでいる写真を遺した。そこには放浪中に使っていた偽名ではなく、本名でのサインがあった。2019/07/19

勝浩1958

13
アラスカの荒野で亡くなった若者マッカンドレスは、決して冒険家ではなかったと思う。冒険家は往々にして「死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。」と思っているのだから。それじゃあ、どうして恵まれた環境を棄てて、ひとり彷徨い死に至ったのだろうか。両親の偽善的な生き方への反抗とか神聖なものへの憧れがあったようだ。最後はどうも野生の食べ物摂取による毒素による事故死であったと推測されている。豊富な経験と知識があれば死は免れたかもしれない。2016/10/08

ぽけっとももんが

12
自信過剰で無謀な若者だ。裕福な家で育ち優秀な成績を納めたクリス・マッカンドレスが突然家を出て放浪し、アラスカで餓死するまでを追うノンフィクション。彼の足跡を辿り、出会った人に話を聞き、手紙を読み(当時はみんな手紙を書いた)、彼のひととなりに想いを馳せる。マッカンドレスは出会った誰もを魅了する聡明で優しい若者であり、周りが非難するほど自然をなめていたわけではない。冒険に出て自分の価値を確かめたい若者代表の著者も含め、愛すべき冒険馬鹿たちのこれからの無事を祈る。2020/10/11

コウジ

8
しばらく、弟に貸して行方不明になっていた本。軽く冒頭を読んで見よッかな位で読み始めたら、ガッツリはまってしまいました。文章が引き込まれる感じで、サクサク進んでしまいます。んー、やっぱりアメリカでベストセラーになる本ってそれなりの力があるんだなーと実感。こう言う所が、アメリカの底力なのかなと、ぼんやり思いました。筆者の他の本も読んでみたいと素直に思えます。根源的に惹きつけられる内容だったし、人間と自然の真理的にも読めたり、存在その物を考えさせられ、良い本でした。 2012/05/20

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