集英社新書
太平洋―開かれた海の歴史

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  • サイズ 新書判/ページ数 236p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087202731
  • NDC分類 270
  • Cコード C0222

内容説明

地表の三分の一を占める太平洋は、古代から開かれた海だった。マゼランをはじめとするヨーロッパの航海者たちよりはるか以前に、東南アジアから小さな舟で渡ってきた人々がつぎつぎと島々に居住し、おそらくは南アメリカにまで達していた。こうして彼らがつくりあげた南海の楽園に、白人たちが乱入して、掠奪と搾取をくりかえし、また、疫病や酒や銃火器をもたらしたため、太平洋は荒廃した。本書は、「大航海時代」研究の創始者が、太平洋本来の住民の歴史から説きおこし、西欧列強による探検、植民地化、帝国主義分割、そしてアメリカの核基地化した現在にいたるまでのダイナミックな歴史を、日本人の観点から力強く描きだした、太平洋が主役の画期的な通史である。

目次

プロローグ 開かれた海・太平洋
第1章 太平洋に栄えた文明―オセアニアの先史時代
第2章 太平洋の発明―マゼランとその後継者たち
第3章 マニラのガレオン船―太平洋に向く日本の眼
第4章 姿をあらわした太平洋―キャプテン・クックまで
第5章 捕鯨船員、貿易商人、伝道者
第6章 コプラ、サトウ、鉱石―資本主義時代の太平洋
第7章 太平洋分割
第8章 南洋―ふたたび太平洋へ
第9章 日米対決
エピローグ 太平洋時代のオセアニア

著者等紹介

増田義郎[マスダヨシオ]
1928年東京生まれ。東京大学文学部卒業。ハーバード大学でラテン・アメリカの歴史と文化人類学を学び、アンデス諸国で調査研究をおこなってきた。大航海時代についても関心が深い。東京大学名誉教授。ラテン・アメリカ協会理事。ペルー太陽勲章、スペイン文化勲章受章。「大航海時代叢書」(岩波書店)を創案、監修した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

17
先史時代、太平洋の島々に人類がたどり着いて文明が栄え、やがて現代に至りそこで大戦や核実験が展開されるまでの広く長い歴史。それを数々の印象的なエピソードによって描いた珍しい通史本。太平洋世界に西洋が進出し、帝国主義や植民地経済に翻弄された受難に多く紙数が割かれ穏やかな姿の裏の哀しい歴史に思いを馳せながらスラスラと読めていく。古代先史諸島文明と日本との交易の可能性や資本主義と宗教による西洋の支配、そして現代の軍事的意義まで短いながらもよくまとめており、読み物として面白い。文章も整った隠れた良書の一冊である2015/12/26

サアベドラ

11
大航海時代および中南米史の大家、増田義郎による太平洋通史。先史時代から現代までの長大なスパンを扱うのは同じ著者の『物語ラテン・アメリカの歴史』と同じで、全体の雰囲気もよく似ている。あとがきにも書かれていることだが、コロンブス以降に中南米で行われた蛮行の数々が、そっくりそのままクック以降の太平洋でも行われていたという事実は、もっと知られてもよいのではないかと思う。その意味で本書は人に勧めたい本だが、ただ、エピローグの記述で著者の政治的立場が見え隠れしてあまりいい気がしなかったことを追記しておく。2013/04/22

あんどうれおん

4
太平洋を中心につづる、なんとも贅沢な通史。古代から現代までをざっくり論じる本は他にもありますが、本書は偏りなくスッキリまとめられていて、抜群の存在だと思いました。本文中で言及がある文献や気になるトピックの資料を読む際にも参考にしたい良書です。2022/08/09

ジュンジュン

2
ラテンアメリカ史を専門としている著者の一冊。大航海時代に偏る事無く、先史から戦後までバランスよく通観できる。名前は知っていても場所が分からない島が多数登場するので、巻頭の地図がとても役立った。2018/01/23

MORITA

0
日本はアジアの東の端であると同時に太平洋の西の端でもあることに気付かされた。大陸視点と海洋視点、見方を変えるだけで世界は大きく違って見えてくる。太平洋文明のようなものがまとまった形で存在し、大陸と同程度の影響を日本に及ぼしていたとしたら、日本はどのような形になっていたか想像力が掻き立てられる。2016/01/16

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