内容説明
地表の三分の一を占める太平洋は、古代から開かれた海だった。マゼランをはじめとするヨーロッパの航海者たちよりはるか以前に、東南アジアから小さな舟で渡ってきた人々がつぎつぎと島々に居住し、おそらくは南アメリカにまで達していた。こうして彼らがつくりあげた南海の楽園に、白人たちが乱入して、掠奪と搾取をくりかえし、また、疫病や酒や銃火器をもたらしたため、太平洋は荒廃した。本書は、「大航海時代」研究の創始者が、太平洋本来の住民の歴史から説きおこし、西欧列強による探検、植民地化、帝国主義分割、そしてアメリカの核基地化した現在にいたるまでのダイナミックな歴史を、日本人の観点から力強く描きだした、太平洋が主役の画期的な通史である。
目次
プロローグ 開かれた海・太平洋
第1章 太平洋に栄えた文明―オセアニアの先史時代
第2章 太平洋の発明―マゼランとその後継者たち
第3章 マニラのガレオン船―太平洋に向く日本の眼
第4章 姿をあらわした太平洋―キャプテン・クックまで
第5章 捕鯨船員、貿易商人、伝道者
第6章 コプラ、サトウ、鉱石―資本主義時代の太平洋
第7章 太平洋分割
第8章 南洋―ふたたび太平洋へ
第9章 日米対決
エピローグ 太平洋時代のオセアニア
著者等紹介
増田義郎[マスダヨシオ]
1928年東京生まれ。東京大学文学部卒業。ハーバード大学でラテン・アメリカの歴史と文化人類学を学び、アンデス諸国で調査研究をおこなってきた。大航海時代についても関心が深い。東京大学名誉教授。ラテン・アメリカ協会理事。ペルー太陽勲章、スペイン文化勲章受章。「大航海時代叢書」(岩波書店)を創案、監修した
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