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集英社新書
ギリシア神話の悪女たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087200720
  • NDC分類 164.31
  • Cコード C0298

内容説明

ホメロス、ヘシオドス、アイスキュロスやソポクレス、エウリピデスなど、ギリシア神話の主役は男たちである。かのボーボワールも『第二の性』のなかで「英雄たちの運命のなかで女はただ第二義的な役割しか演じておらぬ」と嘆いている。しかし物語には表もあれば裏もある。裏からながめると、魅力ある悪女たちが…。毒薬を操るメディア、権力を持つクリュタイメストラ、絶世の美女ヘレネ、邪恋の王妃パイドラ、父を殺して結婚したヒッポダメイア、母子相姦の汚名を着た王妃イオカステ、邪教に堕ちた母アガウェ、集団で夫を殺すダナイデスなど、悪女と呼ばれる女たちの魅力に迫る。

目次

第1章 憎まれた悪女たち(毒薬を操る女・メディア;権力を持つ女・クリュタイメストラ;絶世の美女・ヘレネ;邪恋の王妃・パイドラ)
第2章 畏怖された女神たち(大女神・ヘラ;愛の女神・アプロディテ;知と戦争の神・アテナ;狩の女神・アルテミス;夜と呪術の女神・ヘカテ;豊穣の女神・デメテル;家の守護神・ヘスティア)
第3章 凶事を担当するニンフ集団(エリーニュエス・復讐の女神たち;死者の国のニンフたち;女武者集団・アマゾネス;冥府の使い・セイレーネス;詩歌女神・ムーサイ)
第4章 心ならずも悪に堕ちた女たち(人類最初の女・パンドラ;父を殺して結婚した女・ヒッポダメイア;母子相姦の汚名を着た王妃・イオカステ;邪教に堕ちた母・アガウェ;集団で夫を殺すダナイデス)

著者等紹介

三枝和子[サエグサカズコ]
1929年、神戸市生まれ。関西学院大学哲学科卒、同大学大学院中退。小説家。教師を経て作家生活に。69年『処刑が行なわれている』(審美社)で田村俊子賞、83年『鬼どもの夜は深い』(新潮社)で泉鏡花賞、2000年『薬子の京』(講談社)で紫式部賞を受賞。古代ギリシア文学を読み直すことによって、独自の見解を小説化する試みを続けている。評論集『女性のためのギリシア神話』(角川書店)ほか
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

viola

12
悪い男よりも、悪女のほうが魅力的。ギリシャ神話に登場する悪女、そしてパンドラのように彼女自身は一見悪女には見えない人物も取り上げています。フェミニズム的解釈、というか、テーマは男尊女卑って感じかなぁ。自分の中ではさらっと流してしまっていたところでも、こんな新しい見方があるのね、と興味深い。てっきりギリシャの文学か何かが専門の先生が書いた本だと思っていたら、小説家らしいですねー。「古代ギリシア文学を読み直すことによって独自の見解を小説化する試みを続けている」のだそう、面白そう。2011/07/31

アカツキ

11
ギリシア神話に登場する悪女について書いたというより、母権社会から父権社会への移行に伴って"悪女"として書かれた女性を取り上げたという感じの内容。物語を読みながら男尊女卑を感じていたので同意しつつ読む。トロイア戦争の元凶でありながら天与の美貌で無罪になった美女ヘレネの話が特に面白かった。女嫌いのはずなのにヘレネは特別扱いする劇作家エウリピデスにちょっと甘いんじゃないですかとつつく著者。2022/09/16

みけ

9
ホメロスやヘシオドス、エウリピデスが描く悪女(というか女性)が活躍するギリシア神話を中心に、母権社会から父権社会への過渡や、女性軽視と絡めて読み解いている。確かにアテナやアフロディテの特異な誕生は何故だろうと思っていたので、作者の説はとても気に入りました。メディアの子殺しの理由も納得。興味深く読みましたが、全てを「女性軽視だ」的読み解きをしていて、確かにそうなのだろうとは思いましたが、途中から少し飽きてしまいました。2019/01/20

サロメ

7
ギリシア神話に登場する女神やニンフ、女性に焦点をあてた話。メデイア、ヘレネ、パイドラなど一般的に悪女と言えるものや、ヘラ、アテネ、ヘカテ、エリュニュスなど女神やニンフなども取り上げる。「悪女」についての神話・文学上の考察というよりは、筆者である女性が、フェミニズム的にギリシア神話を見るとこう見えるよねっていう感じ。男性優位社会の確立の中で、いかに女性が卑下されるようになってきたか、ギリシア神話の成立にそれを求めようとするが、いちいちそれを持ち出すため少々鬱陶しい。純粋に悪女論を楽しみたかったので残念。2013/05/06

Mana

6
面白かった。長い変遷の中で同じ神話がだんだんエピソードが変わってくるのを、母権社会から父権社会への移行と結びつけて解説する。2018/05/19

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