内容説明
自分は四国のカルト宗教団体に拉致監禁されていた。その団体の教祖の名は―。人気ロックアーティストに換生している信長に名指しされた高耶と赤鯨衆は、まだその波紋の深刻さに気づいていなかった。一方、富士山麓で復活を遂げた成田譲、那智・勝浦からの謎の漂着者。各地に蔓延する奇病、怪しい黄金の雨。それらすべてが、「真の闇戦国」の開始を告げていた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
枯伍
13
トオルの遺言をきっかけに熊野行きを決める高耶。橘と潮も同行。しかし四国の外ではすっかり「仰木高耶」は指名手配犯扱いで大変なことに。現代人だけでなく謎の液体霊にも襲われたところに礼という少女が助けに入る。三本腕の戻りヒルコ、カオル、フツ、最後の那智。キーワードはいっぱい出てくるけどまだぼんやり。一方四国を目指した綾子はその世界に驚き、乗ったバスは霊にジャックされて危機一髪。マスコミに囲まれる美弥のところには譲がやってきて連れていく。高坂もいた。やっぱ信長の精神攻撃恐ろしいな。高耶が痛々しい。2018/02/01
藤月はな(灯れ松明の火)
12
不安のはけ口を見出し、高耶さんや彼に関わる人々を悪意も込めて容赦なく、糾弾する大衆にやり場のない思いで胸の鼓動が痛く響き、目の前が真っ白になりました。高耶さんは犠牲や重責を払っても生者と死者が共生できるように裏四国を成したのに・・・神話でも記録されてきたことが繰り返されようとすること、生存欲を肯定するのは個人ではなく、社会の方が大きいという事実が無性に悲しい。しかし、押し潰されそうなのに絶対に耐え切れない世界に耐えてみせると考える直江と高耶さんたちを信じる者達に「まだ、あきらめてはいけない」と諭されました2012/03/15
きな粉
6
大台の30巻。直江と高耶が二人きりになると「あわわ、またコバルトにあるまじき直江のまさぐりが始まる」と覚悟するのですが、この巻の直江は大人しくて一安心のような肩透かしのようなだったけれど、二人の言葉にジーンときました。最強だったのは「(魂は)おまえにくれてやる、直江」ですね。どんなに精神的に痛め付けられようと、400年間追い続けていたかいがあったというものです。よかったね、直江。2016/01/25
あすな
6
“カルト宗教団体「赤鯨衆」の代表者・仰木高耶を許すな”。真の闇戦国が、幕を開ける。/…もう、やめてやって(白目)。世論の批判の的となってしまった赤鯨衆と高耶ちゃん。肉体を持つ者と持たない者の争いの怖さもさることながら、改めて“社会”の怖さを感じた。事実が何であれ、有名人の衝撃告白には、嫌でも注目が集まる。…強い、強いぞ信長。勝てる気がしないよ〜!/男盛り直江信綱、「注射男」襲名おめでとう。本当に身を削って高耶さんを守っているんですね。「あなたを死なせない……」と言う直江氏がひたすら悲しかった。2014/06/23
たろさ
4
ミラステ後の再読。トオルから聞かされるヒルコ、流される神の話。その間に信長によって広められる高耶と赤鯨衆のニュース。黄金色の雨が降り注ぎ、人々が消えていく。 直江との行為で毒素が少し薄められたり、その分直江が血を吐き体を痛めつけられている。いつか腐って落ちるその時まで。 「私はーー世界中があなたを糾弾しても、あなたを庇う、最後のひとりです…」 たったひとつ。そのたったひとつを。「お前にくれてやる!直江!」2018/10/14