講談社現代新書<br> ラーメンと愛国

電子版価格
¥781
  • 電書あり

講談社現代新書
ラーメンと愛国

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 288p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062800419
  • NDC分類 596.3
  • Cコード C0236

出版社内容情報

ラーメンの「進化」を戦後日本の変動と重ね合わせたスリリングな物語。なぜ「ラーメン職人」は作務衣を着るのか?
いまや「国民食」となったラーメン。その始まりは戦後の食糧不足と米国の小麦戦略にあった。“工業製品”として普及したチキンラーメン、日本人のノスタルジーをくすぐるチャルメラ、「ご当地ラーメン」に隠されたウソなど、ラーメンの「進化」を戦後日本の変動と重ね合わせたスリリングな物語。

第一章 ラーメンとアメリカの小麦戦略
第二章 T型フォードとチキンラーメン
第三章 ラーメンと日本人のノスタルジー
第四章 国土開発とご当地ラーメン
第五章 ラーメンとナショナリズム


速水 健朗[ハヤミズ ケンロウ]
著・文・その他

内容説明

ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み。

目次

第1章 ラーメンとアメリカの小麦戦略(安藤百福の見た闇市の支那そば屋台;「都市下層民」の夜食だった戦前の支那そば ほか)
第2章 T型フォードとチキンラーメン(技術より生産力が決め手になった太平洋戦争;日本人の兵器観にみる「一点もの至上主義」 ほか)
第3章 ラーメンと日本人のノスタルジー(『渡鬼』の五月(泉ピン子)はなぜラーメン屋に嫁いだのか
小島家の家庭内騒動の背後にある価値観の相違 ほか)
第4章 国土開発とご当地ラーメン(ご当地ラーメンは郷土料理ではない;田中角栄を軸にした中央と地方のシーソーゲーム ほか)
第5章 ラーメンとナショナリズム(メディアを通して体験された湾岸戦争;軍事行動のアウトソーシングも湾岸戦争から ほか)

著者等紹介

速水健朗[ハヤミズケンロウ]
ライター、編集者。コンピュータ誌の編集を経て現在フリーランスとして活動中。専門分野は、メディア論、都市論、ショッピングモール研究など。TBSラジオ『文化系トークラジオLife』にレギュラー出演中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

105
一気に読んだ。ラーメンを基軸に戦後アメリカの小麦戦略から、3.11以降に至る現代史を語るその手法は巧みだ。安藤百福から『渡鬼』、連合赤軍事件からジロリアンまでを単に俎上に載せるだけではなく、意味づけていく縦横無尽さとスピード感もまた見事。思想史としての結論にも納得する。2012/01/14

メタボン

26
☆☆☆★ 国民食となったラーメンの軌跡をたどりながら、戦後経済史、マスコミの広告戦術、田中角栄の日本列島改造論、ファミリードラマの背景、そして昨今のナショナリズムに言及するなど、なかなか多彩な論述だった。今やコンビニに行けばカップ麺の山。完全にラーメンは我々の食生活に浸透、いや侵食している。「作務衣系」ラーメンには、うなずいた。確かに作務衣を着た大将が腕組みしてドヤ顔で映っている写真を良く見かける。2016/02/03

黒猫

23
ラーメンを戦前、戦後の食糧難、その後高度経済成長期、マスメディアの普及、インターネット情報化社会の進展から捉えている。前半は日本の社会論という感じで、ちょっとラーメンからは規模が大きな話になりすぎている気もするが、戦後のチキンラーメンの普及について書かれているから致し方ないのかな。面白いのは1990年以降のラーメンの過熱ぶりについて書かれた章だ。環七のラーメン戦争なんかもう懐かしさすら覚える。ラーメン二郎について、あれは修行だと書いてある所に笑った。ラーメン二郎、久々に行こうかな。ラーメン食べたくなる。2018/04/30

Gatsby

23
私はラーメンが嫌いではないけれど、どうもラーメンについていろいろと批評する人がいるのには少し違和感を覚える。私の中ではたかがラーメン。自分で好きな味ならええやん、というスタンスである。別に他人さまに向かって自分の感想を述べなくても、と思ってしまう。しかし、この本はもちろんそういう批評ではなく、ラーメンを通じて日本の社会を考える本で、奥が深い。ラーメンまでアメリカの小麦戦略だったとは気付かなかった。ラーメンとナショナリズムの関係も興味深く読めた。2012/02/05

hakootoko

21
ラーメン二郎という現象では食の周辺情報がデータベース消費されている。現在、食そのものもデータベース消費化している。食材から背景や経路は消され、食材は物語から切り離されたデータとなった。食のデータベース消費が行き着いた先が漫画「ダンジョン飯」と言える。モンスター(さまざまな物語の切れ端(=データベースのデータ))を食材とした料理が描かれている。しかし、食材の背景や経路を詳細に描いている漫画でもある。そこでは、現実では失われたもの(食の大きな物語)への欲望が働いている。現代史とグルメ漫画の変遷とか読みたい。 2017/07/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4180151
  • ご注意事項