内容説明
死刑囚は冤罪か?新証人の爆弾発言に揺れる裁判のゆくえ。弁護人アーサーは職を追われた元判事ジリアンと心を通わせ、刑事ラリーはかつての不倫相手・検察官ミュリエルとの関係に夢をみる。駆け引きと裏切り、息をつかせぬ展開。傑作『推定無罪』の衝撃に円熟味が加わった、トゥロー渾身のミステリー。
著者等紹介
トゥロー,スコット[トゥロー,スコット][Turow,Scott]
1949年、シカゴ生まれ。スタンフォード大学大学院で創作を学び、同校の講師を務めた後に法律の分野を志す。ハーヴァード・ロー・スクールを卒業、シカゴ地区の連邦検察局に検事補として在職中の’87年『推定無罪』を発表、世界的なベストセラーとなる。同書はCWAシルヴァー・ダガー賞を受賞。現在も、シカゴで法律事務所のパートナー弁護士を務めながら、執筆を行う。重厚で魅力的な人物造型、読み応えあるストーリー展開は、他のリーガル・サスペンス作品の追随を許さない
佐藤耕士[サトウコウジ]
1958年生まれ。上智大学文学部英文科卒業
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感想・レビュー
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James Hayashi
17
驚きもなく興奮するような記述も凡庸でイマイチ。2017/01/29
hideo
17
死刑判決の見直しに関して、検察・弁護士の男女2組が真実を巡って繰り広げられる物語。1つのの事実が明らかになるごとに、死刑囚はもちろん、2人の男女の未来は天秤のように揺れ動く。最後には、それぞれの愛の在り方と、苦い真実が明かれる。推定無罪には及ばないが、それなりに読み応えがある。弁護側のアーサーの人柄も光る一品。2015/08/31
智哉
8
ジュヌヴィエーヴの証言は、形勢を逆転させるだけの破壊力があったのか。ロミーに動機があったことを証明したに過ぎない。往生際の悪いラリーは、本当にロミーが犯人だと信じているのなら、さっさと罷免した方がいい。ジリアンに支えられながら、コロコロと態度を変えるアーサーも好きになれない。2022/05/21
Tetchy
5
今回は上巻半ばで真犯人がわかってびっくりした。それ以降、どう物語が展開するのか心配したがやはりトゥロー、二転三転四転五転の展開を見せ、新たなる真相をも準備してくれた。彼ら四人の特異な人生を語るに加え、アクロバティックなロジックを組み込むこの贅沢さ!また中に散りばめられた警句や描写など心に残る物が数多くあり、ここでは書き切れない。満腹状態だ。最後に最も印象に残った一文を書き出して終わることにしよう。“自らやった過ちは歴史に残らないほど取るに足らないもの、そう考えると楽になる”2009/08/29
Masako Yamada
4
元判事で刑務所から出所しているジリアンが、擦り切れた女の魅力を出している。恋人の弁護士アーサーに打ち明けられない過去をもつ。 対決するミュリアル検事補は、出世がいのちだが、恋人ラリー刑事とのふりはらえない未練がある。 被害者のしがない空港務めのルイサまで、いきいきと描かれる。この作品は死刑判決をめぐる女の戦いともいえる。わたしがもっとも惹かれたのは、ジリアン元判事である。彼女に立ち直ってほしいと願いながら本を閉じた。2017/10/28