内容説明
いかなる凡夫愚人も、ただ「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで極楽往生できる―。法然の浄土宗より二〇〇年の昔、ただ一人市中に遊行し、この「一念往生」の思想を実践した空也。「捨ててこそ」の一念に貫かれた彼の思想と行動、その本質とは。浄土教の歴史を塗り替える、初の本格的「空也」伝。
目次
1 念仏の祖師の開いた安心の道
2 謎の出生と遍歴修行
3 阿弥陀聖の念仏唱導
4 東山道場の仏事
5 入滅とその後
6 心に所縁なし―空也念仏の風光とその思想
著者等紹介
石井義長[イシイヨシナガ]
1932年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、NHK入社。経営企画室主管などを経て退職後、東洋大学大学院博士課程修了。文学博士。専攻は中世仏教学。東洋大学文学部非常勤講師を経て、現在、仏教文化研究所研究員
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感想・レビュー
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keint
3
念仏の先駆者である空也の生涯と思想を解説している。 仏教や中国の浄土教などの知識に乏しかったため、読むのに大変苦労した。 しかし、称名念仏を唱え、あらゆる人のために生きた人が一遍より前に存在したことは驚いた。2019/09/16
ばかぼんのぱぱ
1
平安期に念仏僧として歩いた空也上人は専修念仏の先達である。鶏足寺にて一切経を読破したのち口称念仏遊行僧としての道を歩んだのであるから。2015/11/26
月照彦
1
千観「来世安心のためには、どうしたらよいのでしょうか」 空也「どうなりとも、身を捨ててこそ」このくだりは感動した。空也の生き様は、捨てることによって自己が生かされるということを、身をもって示したのかもしれない。2012/04/06