内容説明
座禅を組み、数珠を携えて旅へ。俗世を捨てた孤高の人・芭蕉。それはしかし、晩年の姿だった。処世の才に恵まれ、ユーモアに長け、伊達を好んだ若き日。伊賀の農人の次男が俳聖となる空白の40年を追い、芭蕉転生の謎に迫る。
目次
第1章 伊賀での少年時代
第2章 武家奉公へ
第3章 日本橋在住時代
第4章 江戸俳壇に躍りでる―「笑い」の俳諧師
第5章 若き日の妾・寿貞
第6章 桃印の謎
第7章 転生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
9
個人の感想です:B。副題の「俗人と俳聖」がぴったりな内容で、芭蕉の私生活にもかなり踏み込んでいて興味深い。松尾家の鉄砲者説を否定し農人とする。13歳で藤堂新七郎家に仕えるとあるが、その寵愛ぶりに関してはぼかした書き方。年譜は字が小さすぎ、内容も読みにくい。寿貞は「若き時の妾」説をとり、甥桃印との密通説を採る。それを藤堂藩に隠蔽するため、深川移転したとする。桃印作の俳句が見当たらないこと、途中二人の絶縁状態が続いたこと(芭蕉は死ぬ間際の桃印の介護はしている)。関口では神田上水の浚渫工事の請負人説を採る2023/03/26