内容説明
一八一六年、夏の夜が生んだ「現代の神話」―「人はその被造物に復讐される」。啓蒙の限界、革命の矛盾、自然科学の将来…。そのテクストは驚くほど予見的だった。メアリー・シェリーの原作と、それを変容させていった映画の意味を、神話学、人類学、精神分析の成果を駆使して精緻に読み解く。
目次
第1章 『フランケンシュタイン』の神話
第2章 語りの矛盾―神話の哲学的起源
第3章 歴史の矛盾―『フランケンシュタイン』と状況
第4章 主体の矛盾―『フランケンシュタイン』と幻想
第5章 神話の存続―スクリーンの『フランケンシュタイン』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wanted-wombat
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読んでる最中に考えていたこと。怪物はハード面では失敗したが、ソフト面では成功していたのではないか。自他共に認めるように、怪物は容姿以外は人間よりも優れている。だとするならば、フランケンシュタインが行ったように生命を作り出すことも時間をかければできるのではないか。なぜなら人間よりも勝っているのだから。だが、フランケンシュタインは人間であると同時に、怪物にとっては創造主である。怪物はメンタル的には人間であるから、神に対して絶対の信仰と超越不可能だという思いを持っていても不自然ではない。だからこそ創造主が死んだ2012/10/08