内容説明
働きざかりがなぜ!?ついに年間3万人を超えた自殺者数、彼らを「最悪の選択」に追い詰めたものは何か。シグナルはどう発せられ、黙殺されたのか。日本社会「世紀末の病理」に警鐘を鳴らす渾身のレポート。
目次
第1部 激しすぎる仕事重すぎる責任(「恨むなら会社を恨め」;だれのための労災保険か ほか)
第2部 「脱不況」の名のもとに(民営化の歪みをまともに受けて;下請け社長の壮烈なる抗議 ほか)
第3部 「わが子は弱かったんじゃない」(立ち上がった母親たち;異国で逝った息子よ! ほか)
第4部 「自死」を追る社会病理(夫は役所の上司に殺された;「君が代」と「人権教育」の狭間で ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamayuuri
1
夫は我が子は…弱かったわけじゃない!という悲痛な声を鎌田慧が拾っている。製造業、公務員、保母さん、家族の悲しみが伝わりすぎてページをめくるのが辛い。会社という実態のないものに日本人はなぜ統合されていったのだろう。時代背景を無視できない2010/04/22
penguin
0
図書館。誠実なルポタージュだと感じます。会社という巨大な組織が個人を殺し、保身に徹する会社と国の姿。それらが、遺族の言葉によって浮かび上がります。本来もっと批判されべきことが報道されない事に寒さを覚えます。2011/01/28
Y.T
0
☆☆☆★2021/12/10
ミノムシlove
0
刊行当時から比べると自死された方の年間の数は減っている。とはいえそのひとりひとりに事情があり、周りには家族や友人が何十人といる訳で減ったからよしとはならない。自死遺族としてそれは痛感する。ここでは過労によって亡くなった方が挙げられている。「会社をやめたら解決」というより「今死ねば会社に行かなくて済む」という思考に陥ってしまう事が、そして死を選ばざるを得ない方ほど“まとも”だということが読んでよく解った。単純に労基は働く人の味方だと思っていたのだがそうではないということも。2021/04/07