内容説明
移り住んだ鎌倉の風物、様々な交遊と若き日の回想、旅での逸話の数々、愛すべき酒と書物…。自作をはじめ、数多くの詩の引用を導きとして、詩人をとりまく日常を、四季を通じて描いたエッセイ四十二篇。ユーモア溢れる各篇から、戦後詩を切り拓き、常に詩の最前線で活躍し続けた著者の、円熟した詩想と自由なる精神が漂う珠玉の随筆集。読書の悦びを満喫する一冊。
目次
1974秋(黄色い外国製の鉛筆;神酒を入れるヒョウタンを ほか)
1974冬(狐;赤い夕陽―石井昂君に ほか)
1975春(音楽を聞く老人のための小夜曲;盲目の少女 ほか)
1975夏(窓;比々多村 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夕木
0
飯島耕一が好きだから、その場面だけをゆっくり読んだ。もちろん、他もおもしろく読んだが、やはり飯島耕一は素晴らしい。田村さんも「毒にあたった」と、フグにかけて書いてるが、彼は人の見えない感じない気付かない深奥部を抉る詩を書いている。ありゃ、田村隆一なのに、飯島耕一を挙げてしまった。2014/11/29
旅籠屋
0
鎌倉の詩人というイメージがありますが、・・・ちょっと違うのでしょう。2013/01/13
Mandragoremi
0
★★★「インド酔夢行」を読んだときはインドへ、今回は鎌倉に行きたくなってしまった。。とりあえず、金色のウイスキーをください。2012/05/17
Ayumu Kobayashi
0
詩人・田村隆一が朝日ジャーナルで連載していたエッセイをまとめたもの。1篇は短いので、仕事の休憩時間に少しずつ読んでやっと読了。西脇順三郎やT.S.エリオット等の詩の名篇を紹介したり、自身の詩を引いてみたりして、その詩の解説というよりは詩からの連想に近い形で綴られる。昭和の男の軽妙さといった趣の文は読みやすく、田村隆一のお酒絡みのエピソード、文学仲間との交流を楽しく描いたり、時に詩や時代に鋭い視線を向けてみたり、住居のある鎌倉の風情を謳ってみたり。詩人の自由な心と昭和の時代を感じるよいエッセイ集。2021/01/27