内容説明
旧満州哈爾浜学院を卒業し、25歳の敗戦直後ソ連軍に不当逮捕されて、11年のラーゲリ生活を体験した著者が、極寒の大地での苛酷な日常と精神の葛藤を逐一記録する。戦争と革命の歴史の巨大なうねりの凝縮された一点に立ち国家と権力悪とに抗して人間の誇りと尊厳を守り通す姿は、ロシア民衆魂の底深さと人類の偉大さ、卑小さを共に示す。ソ連崩壊を予見した識者の20世紀に刻した記念碑的名著。
目次
審問―歴史はわれわれの行く手に、前方にあるんだ。
抑圧―時間が停っているのか。
破綻―正義は負ける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
17
若書きというやつなのか難しかった。ところどころラーゲリの中の実情がわかって面白いところもあったが。2020/11/01
AR読書記録
3
満州国の哈爾濱学院(日露関係のための人材を育成する国立大学)で学び、関東軍司令部での仕事を命ぜられたことから、戦後、政治犯としてソ連において裁かれ抑留されるという経緯があるため、ここで語られていることは、日本の一兵卒のシベリア抑留記録という内容ではない。スターリン指導下のソビエトの深部で如実に見て感じ取ってきた、スターリン主義が社会にもたらした負の側面、ひいては人類の愚行の歴史(繰り返し)への省察。著者が学生としてロシア語を学び、民衆詩人の歌に親しんでいた頃に、このような将来を考えられただろうか。刺さる。2016/11/29
ymazda1
2
シベリア抑留の過酷さみたいなものはほとんど感じられず、著者と思しき主人公とソ連の取調将校とがひたすらインテリ禅問答をしている意味不明さ。。。 ただ著者の抑留が11年という異例な長期に及んだことと、作中の「イデオロギーの武装解除」といった言葉とかを踏まえると、ソヴィエトを思想的に全否定できそうなインテリは、帰国前に可能なかぎりの思想改造をしておく必要があったんかなって考えると、この意味不明さも理解できなくはないかなって思った。
えのこ
1
後半になっていつの間にか独特で哲学的、文学的な文章になる。後半は私にとって難しく、理解しがたかったため少し飛ばしてしまった。2015/12/10