内容説明
語源研究に画期的役割を担った磧学・新村出。8篇からなる「外来語の話」では、朝鮮語、漢語、南方語、欧米語等、各々の言語と日本語との関わりを考証し外来語の語源・伝来を興味深く解明する。表題作のほか「金もうる物語」「オランダ語の名残」「ピントとピストル」「外来語の本源と経路」など『広辞苑』の編者が語る知性豊かな語源探索エッセイ14篇。
感想・レビュー
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へくとぱすかる
27
著者は『広辞苑』の編者として有名。新村博士の旧宅前は、たびたび通ったことがあるが、京都にお住まいだったのに、「×」の意味の「ペケ」が廃語だと述べられているのは意外だ。というのは、このエッセイが書かれて、すでに70年経っているというのに、現在でも京都では、若い世代でも「ペケ」をよく使うからである。「キルク」「ヒリョウズ」「メリヤス」「ソップ」など、二世代ほど前の京都人なら、日常語彙だったろう。今はかろうじて化石的に生き残っている程度だから、外来語とはいうものの、かえって古い日本語の姿をとどめる言葉である。2015/02/20