内容説明
上田敏『海潮音』にはじまり、堀口大学、日夏耿之介ら、日本翻訳詩の高い達成点の伝統の中で、自ら全訳した、ボオドレエル、リラダンをはじめとした、近代フランス詩人四十人の秀詩を、翻訳詩のレヴェルを超え、創作詩にまで、高めた訳者、斎藤磯雄縷骨の訳業。“魂の神聖な売春”と、ボオドレエルが称した、至高の意味での“自己放棄”の絶唱。
感想・レビュー
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龍國竣/リュウゴク
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人によっては原書を読むより難解かもしれない、ルビ付きの高踏的な訳詩集。翻訳した詩人も、ボードレール、バルベー・ドールヴィイ、ゴーティエ、ピエール・ルイス、そしてヴィリエ・ド・リラダンと独特な顔ぶれである。日夏耿之介に私淑した孤高の学者による怪作。2013/10/31
たまかなや
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四十詩家、百篇。ヴァルモオル夫人からドゥヴィル夫人に至るまで、ほぼ一世紀にわたるフランス近代詩の群芳を、斉藤磯雄の鍛え抜かれた文体が日本の言葉に移し植えた。《或る観念、或る幻影、或る情緒をよびさます音綴の数、語の組合せ、律動、韻律、諧調の秘密を探求すること》に詩歌の本質を見る訳者の精神が詩篇の全てにゆき渡る。窪田般彌の解説、小副川明の作家案内も興味深かった。2013/09/09
若い脳
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再読、考えられる日本詩の手本。2011/09/07