内容説明
「人間が生きて行くことの、喜びとつらさとを、そしてまた、いかにささやかなものであれ、われわれの生をどこかで、支えている真実」と勇気とを教えられた、という著者が、チェーホフの心のそよぎや魂の息吹きに耳を澄ませつつひたすら作品の読みに徹して胸にひびく感動の波紋を綴る。円熟した心境に達した著者最晩年の長篇文芸エッセイ。野間文芸賞受賞。
目次
作品の生命―チェーホフ私観
私のチェーホフ(素直な心をもって;初期短篇について;そのはげしさについて;恋愛について;〈続〉恋愛について;軽みについて;サハリンの旅の前と後;中編小説について;幸福の拒否;小説と戯曲;昇華の方法;ドラマのないドラマ;悲劇か喜劇か)