内容説明
“最後の文士”と謳われた高見順が、食道癌の手術前後病床で記した絶唱63篇。野間文芸賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
3
初めて読んだ詩集で、初めて読んだ高見順だったが、かなり良かった 死というものを前にしても、病床からそれをじっと見つめて描写していて、無力さと力強さを同時に感じるような一冊だった。2011/10/05
kentaro mori
2
⚫️蹴らないでくれ/眠らせてほしい/もうここで/ただひたすら/眠らせてくれ(小石)2019/08/18
nightowl
1
達観した視点を持ちつつ、死と向き合う鋭い言葉の数々。刃物のように光るレールを見ながら"いやな空虚"のなかに立つ「汽車は二度と来ない」、当り前でない死といえる、自殺方法を考えながら心を慰める「不思議なサーカス」、チョークで書かれた字をさっと消すように人生を去りたい「黒板」、残された盃に過去を思う幻想的な「過去の空間」、自分と戦い抜いた生涯を怒りながら肯定する「おれの食道に」など一つ一つの詩の力に凄味を感じる。湿っぽさが無いのも良い所。2018/01/14
桜井晴也
1
「つめたい煉瓦の上に/蔦がのびる/夜の底に/時間が重くつもり/死者の爪がのびる」2009/05/18
くまたろう
0
死を前にした心の揺れ動きが、実に生々しく感じ取れる。 個人的に好きなのは「青春の健在」、「血だらけの手」、「小石」、「生と死の境には」。2013/06/28