内容説明
近代日本の文明開化を徹底批判し、戦後は好戦的文士として公職追放を受けた保田与重郎。著者は、厖大な資料を駆使して、保田の戦時中の歩みだけでなく、戦後三十数年に及ぶ思想の一貫性を確認。戦時下の保田があれだけ若者を魅きつけたのは、日本主義や好戦思想のためではなく、「死」を真に意味づけうるものが、その真摯な思索の中にあったからだと説く。復古派文人・保田与重郎の批評精神の軌跡。
目次
1 偉大なる敗北の歌―戦前(戦後の受難;『やぽん・まるち』;ロマン的イロニイとレアリズムの意識 ほか)
2 紙なければ、空にも書かん―戦後(敗戦期;永遠の日本の暮し;絶対平和論 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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保田論の中でも、戦後のそれを描いたというので画期的といわれる桶谷秀昭の保田論。でも、戦後以前に、戦中の保田すらわからない。「イロニー」とは何か。保田の「近代」理解は如何なるものか。一般的に1939年前後と言われる保田の変化(挫折?)について、桶谷は昭和十五年にそれを見るけれど、「死の美学」へ向うその道程についてもイマイチその意味がわからない。日本浪漫派については、?という感想しかない。もう絶望しかない。2012/12/25
depthofthesky
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#dokusyo 読了。保田輿重郎の戦争責任とその断罪とは別に、その文学論に立ち返るかたちで保田再評価の道を拓いた本。保田文学論の骨となる日本的「死」の観念を再度分析しなおしている。2010/03/23