講談社学術文庫<br> ファウスト―ヨーロッパ的人間の原型

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講談社学術文庫
ファウスト―ヨーロッパ的人間の原型

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  • サイズ 文庫判/ページ数 319p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061592162
  • NDC分類 942
  • Cコード C0198

内容説明

ドイツ文学のなかで、いちばん面白く、内容の深みと言葉の真実なみずみずしさを、もっともよく湛えているのは、ゲーテの『ファウスト』であろう。神と世界に対して自己を主張し、行動の巨人たらんとして悪魔にとりつかれた男ファウスト。死してなお真実の愛に生きた少女グレートヒェン…。本書はこのゲーテの作品を手がかりに、ヨーロッパ的人間とは何か、その実相をさぐろうと試みた刮目の書。

目次

序章 「自我」このヨーロッパ的なもの
第1章 前史
第2章 ゲーテの『ファウスト』
第3章 『ファウスト』第二部の序曲
第4章 第二部終曲
第5章 トーマス・マン

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

102
ゲーテの『ファウスト』の二部があまりに素晴らしかったので、読んでみた。あの作品の精緻な分析に唸るのみ。それでだけではなく、ロマン溢れる筆致が素晴らしい。小塩氏は優れたエッセイストでもあるので、本書は知性の方だけに偏らずに、読み手の感性を刺激する内容を持っている。ファウストの舞台になったドイツの街の雰囲気が鮮やかに伝わってくるのだ。グレートヒェンの生き方について多くの筆が割かれていて、彼女こそがファウストを救い、本当の愛の意味を教えてくれる偉大な存在だったことを教えてくれる。2017/01/08

meri

11
『お気に入りの本』というのは、基本的に、疲れたときや悲しいときに読んで勇気付けられたり、より大きな世界に入ることで、今までの自分にはない価値観をてにいれることが出来る本のことをさすのだと思う。本書は一見すると、よく巷にある難解なことを難解に説明しているような指南書のように見えるが、中身は至って平易な文章と、魅力的な解説で溢れている。この著者の本は他にも持っているが、どれも私を新しい世界へと導いてくれる。『ファウスト』が身近な存在になった。2014/09/18

misui

6
悪魔と契約を結び、悪魔に魂を売らざるをえないほどの認識衝動の底にある傲慢。ほとんど原罪的でもあるこの衝動によって生まれる悲劇は、ドイツのみならずヨーロッパ全体に共有されるものとなっている。そうしたファウスト像を念頭にいくつかの作家・作品を読み直してみたいと思った。ゼーバルトとか。2020/04/13

またの名

5
「何十年かたったのち、本書を手にした人が二十世紀末の日本の大学や独文学会では魔術について議論がされていたなどと大まじめで語ったりしては大変だから、このへんで同時代人の証言から証拠を示す手続きを終えなくてはなるまい」とか未来に配慮して大変そう。中世で猛威を振るったペスト感染に対し錬金術みたいな医術を使って活躍した凄い人オーラをまといたがるファウスト博士の伝承は膨らみ、ゲーテの創作へ至る。若い時に恋をしてその上捨てた娘に対しての良心のすまさなが、元々些細な部分だった少女の話を罪と救済の主題に押し上げたと解説。2021/02/06

misui

4
再読。やっぱり近現代の世界や文学を読み解く上での基礎になる物語で、疎かにできないという気持ちを新たにする。あとヨブ記の影響があるらしいのも言われてみればたしかに。2023/11/14

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