講談社学術文庫<br> 昭和金融恐慌史

講談社学術文庫
昭和金融恐慌史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 332p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061590663
  • NDC分類 338.19
  • Cコード C0133

内容説明

日本中の銀行が預金取付の大津波に襲われ、異例の支払猶予令が断行された昭和金融恐慌。東京渡辺銀行などの倒産、破産が続出し、休業銀行の多くは預金の4~5割を切捨てた。この大異変の背景には銀行の前近代性と、熱狂的投機ブームの反動で膨れた莫大な不良債権があった。在野の経済評論家として名高い高橋亀吉を主執筆者とし、金融恐慌の原因と実態を豊富なデータを駆使して解明した注目の書。

目次

第1部 昭和2年金融恐慌の基因(金融恐慌の基因としての銀行制度の前近代性;昭和2年金融恐慌の基因の累積;関東大震災以降の財界の打撃の累積;休戦9年反動以降の企業、銀行の打撃の累加)
第2部 昭和2年金融恐慌の誘因と推移(昭和金融恐慌の誘発;昭和金融恐慌の勃発と経過;昭和金融恐慌の善後処置)
第3部 昭和金融恐慌のわが国経済に及ぼした影響とその歴史的意義(金融構造および金融市場に及ぼした影響;昭和金融恐慌の真因とその歴史的意義)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

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12
『昭和二年金融恐慌に至る間の、(中略)業界には政府の救済に甘える風潮が生まれ、日銀は救済機関に堕した。病根を一時的に抑えた財界は、不健全な身体のままいたずらに僥倖をのみ追求したのである。』/昭和二年の金融恐慌を扱っているが、関東大震災の復興貸与が不良債権化した震災手形、金融緩和というカンフル剤が企業の自主改善を妨げる様が、現代のコロナ対策特別融資および日銀の株価サポートと似ており歴史は繰り返さないか薄ら寒くなる。流石に恐慌にはならないだろうが、何らかのショックは今後避けられない気がする。2022/10/10

dzuka

6
歴史の教科書でもほんの数行しか語られない昭和金融恐慌。「鈴木商店」「台湾銀行」という単語くらいしか覚えていないが、世界恐慌の前に、何故日本だけ転んだのかを知りたくて手に取った。 表面的に語られるのは銀行破綻の引き金である取付騒ぎであるのだが、その基となるのは何とWWⅠの好景気というのが、著者の指摘。読んでいくとその分析に首肯。たまたま起こったのが、昭和2年で、関東大震災後に為替で煽られ上、いつもで起こりうる破綻をつなぎ融資で引き延ばしたあげく、ついにバーストしたということらしい。似ていないか、ある時に。2023/05/23

newborn

6
本書は昭和金融恐慌は大銀行が特定の企業と癒着し、赤字を垂れ流しながらも粉飾決済で外見を取り繕い放漫経営を続けた結果、戦争景気の消滅+関東大震災の焦げ付き+世界恐慌によって引き起こされたものであるとする。その点、過剰生産によって経済規模が縮小し、金融取引が停滞する一般的な恐慌とは別のものであるとしている。またこの恐慌の影響でより耐久性のある銀行業界に再編すべく中小銀行の合同化、大銀行化が進み、中小企業への融資が減り、余剰資金は国債へ流れる構図となった点が恐慌自体よりも後世への影響大であると本書は評価している2017/05/17

むとうさん

4
チョット古い本だが面白かった。著者(の一人)が1891年生まれというのがいい味を出していて、実際に当時の経済論壇にいた人だというのが面白い。日本の銀行システムが「前近代」であり、軽工業中心から第一次大戦を経て重工業にシフトしたのに、銀行が変化しなかったという。さらに金解禁と為替の関係で投機が激化していたことに原因を求める。政策的に金融恐慌を抑えることは可能だったかもしれないが、それは問題の先送りに過ぎなかったのではないかというスタンスのようだ。解説が92年で、バブル後の銀行破綻を予言しているのも興味深い。2014/03/02

ふら〜

1
銀行への監督も今とは違い緩かった時代、銀行経営も(複数企業の兼職が横行するなど)財界と癒着していた状況で、震災手形という地雷と、旧平価による金本位制復帰を拙速に急いだ政策側の失態によって起こった恐慌。必ずしも実体経済悪化とか、バブルが弾けたとかそういう原因でないところが事例として興味深い。これを機に結局信用のある銀行(≒財閥系銀行)へ預金も集まり、益々財閥が強くなっていったとか。2021/07/23

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