内容説明
死体、探偵、美女、手がかり、推理―。五つのキーワードで古今のミステリイの森を自在にフィールド・ワーク!読めばあなたも殺される。
目次
1 死体(死体の登場;殺人は近代社会のスキャンダルである ほか)
2 探偵(探偵の出番;名探偵プロファイリング ほか)
3 美女(美女の味わい;美女の見わけ方 ほか)
4 手がかり(手がかりとは?;「同一性の危機と回復」というドラマ ほか)
5 推理(推理の魅力;名推理はシンプル ほか)
著者等紹介
春日直樹[カスガナオキ]
1953年東京生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科後期課程中退。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
10
死体、探偵、美女、手がかり、推理—。五つのキーワードで古今のミステリイの森を自在にフィールド・ワーク!読めばあなたも殺される。 2003/03/13
Ecriture
5
ミステリーは見えない権力に奉仕すると同時にその破れ目を告発する。探偵は社会での居場所を失くした者であり、当時の社会的強者である男性探偵は居場所を失くしても暮らせるが、女性探偵は親しみやすく探偵になりきれない者として描かれることが多いという指摘は示唆的。「存在」と「外観」の分離を分析し、同一性の危機を回復へと向かわせながらも同一性への不安は刻印されたまま残すジャンルとしてミステリーを読む。不確実性の高いアブダクションは呪術とも科学ともつかないが、関係妄想が生み出す物語の面白さまで否定することはあるまい。2013/10/27
れ
4
初めてミステリー本というものを読んだので新鮮だった。ところどころの論の展開には首を傾げざるを得なかったが。他にこういう本はないのだろうか。2014/06/18
真塚なつき(マンガ以外)
3
「死体」「探偵」「美女」「手がかり」「推理」の五つをキーワードに数々のミステリイ作品を渉猟し読み解こう――というコンセプトは面白いと思うのだが、どうにも飛ばし読みのはかどる一冊。取り上げられる作品の偏りもさることながら、推理小説の魅力をどう描き出したいのかがいまいち曖昧。文化人類学や現代思想タームを使って推理小説の本質を抉り出したいのか、いささか乱暴でも独断と偏見によった愛あるエッセイにしたいのか。所々気になる観点はあっただけの惜しい。エーコ・シービオクの『三人の記号』や吉本隆明「推理論」は参照したい。2012/08/09
私的読書メモ3328
2
ミステリ論。作者はよほどミステリが好きなんだなあと好感が持てました。とにかく第一に引かれるシャーロック・ホームズは、やはり偉大ですね。2022/08/18