内容説明
百万都市に集まる世界の巨富、コスモポリタンとして生きる人々。イスラームから世界史を読み直すシリーズ第一巻は、中東文明の継承者が世界文明をリードした時代を描く。
目次
1 巨大文明の継承者
2 イスラーム国家の成立
3 大変動の時代
4 トルコ人の登場
5 マムルーク騎士と民衆
6 イスラームの地中海
7 アフリカ史のなかのイスラーム
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
17
全3巻のシリーズイスラム世界通史の入門書。本書ではイスラムの成立から、地中海、アフリカへの浸透ぐらいを扱う。人物、地名、役職、制度名等に認識できない名前や単語が多く、まったく区別ができなくて、なかなか頭に入らない。また、扱われる地域も広く、一読しただけでは理解は難しい。なによりも、世界のこれだけの空間と時間の範囲について、今まで無知であったことについて、実は愕然としている。イスラムに対する欧州等が持つ負のイメージの起源が、スペインでの相互の不寛容から始まっているのであれば、その認識に立って見直しも必要か。2023/02/21
富士さん
5
再読。正直イスラムの歴史と言うより、手ごろな通史の域を出ていない気がします。流動性をイスラム理解の切り口に使うのは慧眼ですが、それがイスラムの性質なのか地域の性質なのかをはっきり示さないのが、視点をボケさせているように感じました。時に地域性は宗教としてのイスラムを希釈させ、限りなく異端なものにしており、それに対する視点をイスラム側のべき論に置くのか、地域側の伝統に置くのか、どちらでもない立ち位置があるのか。そこがはっきりしないところがシリーズを通してイスラムの歴史になり切っていない点だと思うのです。2020/08/24
oDaDa
4
イスラーム世界を大いなる文明としたロジックから描かれる。ほとんどが概括的で基礎的なことだが、イスラーム世界から見るという視点で重要。十字軍は西洋視点で語られることがほとんどだけれど、十字軍をイスラーム世界側はどのように受け取っていたのかだとか、トゥール・ポワティエ間の戦いのイスラーム的意義は何だったのかなど考えさせられる。世界史なのだから双方の視点で見ることは当たり前だが、教科書ですら中立を欠いていると気付く。2013/10/03
kapo54
2
イスラーム世界の先進性に驚かされる。世界史の教科書は、この時代のイスラームをもう少し詳しく扱うべきではないか。著者からはヨーロッパ中心史観への反発を感じられ、イスラームを持ち上げすぎではないかと思うところもあった。2014/12/22
wei xian tiang
2
マムルーク朝後期は北カフカスのチェルケス人主体であった由。「静かなるドン」上田進訳版中の名訳「山窩師団」なる造語を思い出して萌える。裏表紙に編者の写真、ご子息によく似ている。2014/06/02