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講談社現代新書
私の紅衛兵時代―ある映画監督の青春

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784061490086
  • NDC分類 926
  • Cコード C0223

内容説明

「天国」を夢みた毛沢東最後の挑戦、文革。彼の若き使徒、紅衛兵たちの反逆。破壊と挫折の日々を、人々はどう闘い、傷つき、死に、生きのびたのか?そして、下放先の大自然の中で得た、魂の新生…。『黄色い大地』を撮った中国映画の旗手が、みずからの体験を、鮮烈な感覚でつづる、動乱期を生きた少年たちの、死と成長の記録。

目次

第1章 天国―北京の思い出
第2章 降臨―文革の勃発
第3章 群仏―街に繰りだす紅衛兵
第4章 狂灰―いくつもの死と生
第5章 青山―野焼き、そして、新生

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

41
本棚整理で再読。やはり残すべき本だと確信。文化大革命の大混乱の時期に少年だった、映画監督は当時の不条理で残酷な日々を、実に瑞々しく描写する。個人的に内容のことよりも、文芸としての文章に息を飲むのだ。内省的な懺悔と悔恨の言葉たち。『私は暴力の快感を知った。それは、しばし恐怖と恥辱を忘れさせる。満たされずにいた虚栄心と権力への幻想が、底の浅い盆に水をあけるように、あっという間にあふれ出た。六才のとき、ブドウ棚の下にしゃがみこんで死んでいく小鳥を眺めたとき、私の心に植えられた種がとうとう実を結んだのだ』2016/03/04

こうすけ

19
『黄色い大地』の映画監督チェン・カイコーの自伝。映画の話はほとんどなく、文革を振り返っている。凄まじい…。友人に裏切られて家宅捜索を受けたり尋問されたりするところもすごいが、自分の父親を告発する話はつらかった。中学生ぐらいの頃からこれだけの経験をしていて、ここからよく映画監督になったものだ、としみじみ思う。この世代の中国の映画人は大物ばかり。2022/09/14

kinkin

12
もし文革がなかったら今の中国はどうなっていただろう。革命という名の下 多くの人が失われたこと、多くのモノが破壊されたこと、なにより人間性が否定されたこと。当時映画監督だった著者の青春時代に経験した文革について書かれた本。2013/09/05

hide

9
文化大革命とその後の下放で過ぎ去った青年時代についての回顧録。著名な映画監督が書いているだけあり、美しい情景描写と過酷な状況のコントラストが凄まじい。/友人や恩師に裏切られることへの恐怖から自身も糾弾者と化し、はてには自分の父親すら糾弾するようになる。「反革命」の題目のもとであらゆる文化財・書物・財産を破壊して過去から切り離されていく。やがては下放で辺境に放逐され、ある者は命をある者は正気を失っていく。文革は知識としては知っていたが、まさかここまで苛烈なものだとは想像していなかった。2022/02/23

kuukazoo

9
狂っているのは自分なのか周りなのか。どんなに理不尽であっても集団に同調しなければ自分が暴力に曝される。熱狂が先行して良識や理性が沈黙を強いられることの恐ろしさ。そんな時代に迎合せざるを得なかった若い日々を苦々しく振り返る。彼は暗黒の中でも自然に癒やされ光を見いだすことができたけど、そうでなかった多くの人達の痛ましさ、それをもたらした元凶は何だったのか。「暴力は新しい社会の助産婦だ」はマルクスの理論というが、そういう「革命」なしには変わっていけないのかと思うと暗澹たる気持ちになりますな2015/05/03

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