出版社内容情報
「礼が守れぬ者は法も守れない」
今から二三〇〇年も前に、コンプライアンスにつながる考えかたを説いた荀子。「法」の前に「礼」を理解するべき、という「礼治」の考え方を、現代語訳、書き下し、返り点付き原文、やさしい解説、コラムとともに紹介。これ一冊で中国思想「荀子」の入門となる一冊。
内容説明
「礼が守れぬ者は法も守れない」今からおよそ2300年前に、現代のコンプライアンスにつながる考え方を説いていた中国の思想家・荀子。性悪説にもとづき、「法」の前に「礼」を理解するべきとする「礼治」の思想とは、どのようなものだったのか。「青は藍より出でて藍より青し」など、現代も使われる名言の本質を、現代語訳、書き下し文、返り点付き原文、解説、コラムで紹介。これ1冊で、中国思想家「荀子」がよくわかる入門書。
目次
第1部 『荀子』の名言を読む(人間の可能性を信ずる;礼が守れない者は法も守れない;不遇とどう向き合うか;新しい世界像を創り出す)
第2部 『荀子』の思想に学ぶ(性善説と性悪説;礼と法はどう違うか;荀子から韓非子へ、そして始皇帝へ;法治の挫折と礼治の復活;新発見の資料と荀子の再評価)
おわりに 変革の時代に求められる思想
著者等紹介
湯浅邦弘[ユアサクニヒロ]
1957年、島根県生まれ。大阪大学大学院教授。専攻は中国古代思想史。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
76
角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスは吾輩の好きなシリーズで、これまでも何冊かお世話になっている。この本だけで分かった気になってはまずいのだろうが、まったく触れたことのない、それでいて古代中国の枢要な思想家「荀子」を素通りのままでいるのも癪な自分にはありがたいシリーズなのだ。 2023/08/26
さとうしん
10
篇ごとではなく、性悪説、天人の分、礼治など、トピックごとに読みどころと思想の特色を示すという手法で、構成がよく工夫されている。第二部では『孟子』の性善説や『韓非子』の説く法治との比較、新出資料による再評価も盛り込まれている。荀子の主張は「性悪説」と呼ぶべきなのか、最終的には善に至ると人間の可能性を認めているという点では、孟子とそれほど違いはないのではないかとする点が面白い。2020/02/05
ふね
9
#61 "性悪説"で有名な荀子の哲学を、何篇か抜粋して平易な日本語で解説した一冊。この本を読むと、性悪説というものが、人間の本性は悪として諦めているのではなく、礼によって善くなれるという人間の習性に期待した議論であることが分かります。後半では韓非子の法治の考え方も解説されます。権力が適切にコントロールされ、法治と礼治の両輪で人々が治められる、政治の理想の在り方が学べました。努力を肯定し、人間に期待する荀子の哲学が、好きになれた一冊でした。2020/09/30
メイロング
5
シリーズ通して現代と呼応するように描かれている。他の有名どころの諸子より人間性のアップデートを重視しているようで、性悪説の人、だけではもったいない。2021/12/03
スクワッター
4
★★★★★ 非常に良かった。荀子の主張のエッセンス、生涯、孟子や韓非子との比較した立ち位置などが非常に分かりやすく解説されている。荀子の本編は、現代人が読むべき内容と確信が得られたので、金谷訳を自信を持って読み進めたい。作者は学者なので、変な政治的主張はなく、純粋に荀子を紹介しているのも良い点。惜しむらくは「礼」が何なのか、具体的に分からなかった点。本書では掘り下げられていないが、超ロジカルな荀子が、礼儀作法と儀礼のみで社会を統治できると主張するのは、違和感があるんだよな。三礼のどれかを読んでみたい。2023/09/08