内容説明
昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。
目次
人体標本を作る男―エドワード・ゲイン
殺人狂のサンタクロース―アルバート・フィッシュ
厳戒棟の特別捜査官―ヘンリー・リー・ルーカス
ベトナム戦は終わらない―アーサー・シャウクロス
赤い切り裂き魔―アンドレイ・チカチロ
少年を愛した殺人ピエロ―ジョン・ウェイン・ゲーシー
人肉を主食とした美青年―ジェフリー・ダーマー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
124
遺体を加工して皿や服を作る、400人もの子どもの肉を食べる、53人の婦女子を殺害し遺体を損壊する、少年ばかり狙う殺人鬼など、歴史上今後も残っていくであろう7つの事件について書かれたノンフィクション。どの事件もほぼ映画化されているが、その実態はあまりにも惨たらしく、胸が痛むなんてものじゃ済まされない。いったい何がこんな殺人衝動を起こさせてしまったのか、それが知りたくて読んだ。被害者や遺族の悲しみは計り知れないし、殺人を犯した人間に対してもなんと愚かで悲しいことかと嘆かずにはいられないが(コメント欄に続く⇒)2013/05/10
澤水月
87
ベトナム帰還兵PTSD殺人者シャウクロスなど本書で知られたか。どの者も酷い幼児虐待経験、後の平山文学の主題…そう、最高に面白いがあくまでこの本は入り口で平山夢明という作家の原点を知り巻末に多数挙がる殺人者個々の書物などに興味を広げてほしい、あくまで20年前初刊時の情報に平山味つけの文庫再録なので。現在ヘンリーの「死の腕」教団や人数フカシとされてるし本書が日本wiki等の種本になってるのは…。ゲインポゴダーマーチカチロら綺羅星のよう。90年代に山ほどあった殺人者列伝、入手しやすい形はレスラーと本書くらいか!2014/09/09
GAKU
80
エドワード・ゲイン、アルバート・フィッシュ、ヘンリー・リー・ルーカス、アーサー・シャウクロス、アンドレイ・チカチロ、ジョン・ウェイン・ゲーシ―、ジェフリー・ダーマーと誰もが歴史に名を残す錚々たる猟奇殺人犯達のノンフィクション。あの平山夢明さんなので猟奇犯罪の描写は、凄惨この上ないです。今までにもここに登場する犯罪者達のノンフィクションは色々と読んできましたが、あらためて7人まとめてだと読んでいる私までオカシクなりそうです。誰もが甲乙つけがたいド変態の異常者ばかりです。 2017/07/14
ももっち
75
極め付けのシリアルキラー達の物語。お腹いっぱいの殺戮、解体、強姦、屍姦、スカトロ、カニバリズム。この一冊で4〜5冊分のスプラッタホラーを読んだような濃さだ。彼らはある意味純粋で、欲望に忠実故に制限が効かない。エド・ゲインなどには、無垢な魂を感じてしまう。容赦なく凄惨で醜悪で変態な血まみれの世界に、哀しい過去が垣間見える。多くは生まれながらのサイコパスだろうが、虐待などで壊された精神により更に箍を外された悲劇。理不尽極まりない犯行の数々は、幸福を奪った自分を取り巻く環境を、世間に転化しての復讐だったのか。 2017/05/15
carl
75
ノンフィクションからの平山先生のふくらまし方がとても読みやすくタイトルからそそられた興味は完全に満足しました。後書きにも有ったように読む為の精神力は確かに必要と思います。本当にスゲェー内容です。夢でうなされたりはしなかったけど、嫌な夢は見ちゃいました。グロイの大丈夫(好き)な方には心して頂いて一気読みをお勧めします。 2016/11/24