内容説明
向島で3代続いた料理屋、笹屋の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。15の時からお店の手伝いをして、しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や何から何まで、親は手を出すすきもない。そんなお京に縁談の数々、お京は「あてがあるんです」と断ってしまう。相手はかつぎ豆腐売りの信吉、親は大あわて。しかし信吉はこの縁談をあっさり断ってきた。さあ大変、勝気なお京は悲しみに耐えているが…。しっかり者の女たち、それゆえに悲しくもおかしい泣き笑い。豊かな江戸の人情を描く珠玉短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mayumi K
2
こちらは短編集です。 主人公を取り巻く人間関係に、わがままな兄弟とか、人でなしの義理の息子などが登場しイライラさせられた。 自分の周りにこんな性格の悪い人はいないが、世の中にはいるんだろうなと思うと、、。2016/03/06
renren
2
女の業、人の業を描いた作品は、等身大だけれど少しもやもやする救いの少ない話もあって読むのがつらかった…(下手だとか作品の価値が小さいとかではなく、むしろその逆なのだけれど、それだけに)。職能ものはすごかった。作者の古い作品だというけれど、むしろこのほうが好みかな。2011/09/27
あられ
1
近代を舞台にしたものよりも、登場人物が多彩で魅力的で、生き生きと動いているように感じた。働き者も、怠け者も、根性曲がったのも、存在感があって楽しかった。2018/03/15
goodchoice
1
いいなぁ~。ジンとくる話が。女性じゃないと書けない話も多い。特に表題となっている「ちいさなかみさん」は涙なくしては読めません。江戸人情話として出色のできといえる。2014/03/19
姫草ユリ子
1
短編集なんですが、やはりそれぞれにドラマがあります。困難と再出発の物語とでもいうべきか。昔でもこんな人はいるのね、そしてこういう結果になるのね、と人間観察でもするように読み進めました。2013/05/05