内容説明
第二次世界大戦下の一九四一年、新聞記者日本特派員リヒアルト・ゾルゲと元近衛内閣嘱託尾崎秀実らがコミンテルンの指令によりスパイ活動を行ったとして逮捕、四四年に処刑された。世にいう「ゾルゲ事件」である。しかし、彼らは恥ずべき売国奴だったのか。戦争とファシズムの嵐に抗して、真の世界平和実現を目指した勇気ある「志士」たちではなかったのか―。事件発覚の陰には、同志を売った「ユダ」の姿が見え隠れする。迫りくる偏見や苦難を超え、ゾルゲ事件の謎に、秀実の実弟が挑んだ恩讐のドキュメント。
目次
きざまれた過去
昏い太陽
疑惑の影
描かれた波紋
奇怪な日々
父の死
心の底から憎むことを
それから
著者等紹介
尾崎秀樹[オザキホツキ]
1928年台北市生まれ。中学時代に兄の尾崎秀実らが検挙、処刑される「ゾルゲ事件」が起きる。大衆文学評論を中心に、旧植民地文学、歴史評論、漫画論等々幅広く執筆活動を続け、66年には『大衆文学論』で芸術選奨、90年には『大衆文学の歴史』で第二四回吉川英治文学賞を受賞。日本ペンクラブ会長や日本文芸家協会理事を務めた。99年逝去
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感想・レビュー
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sashi_mono
6
ゾルゲ事件も共産党の内部分裂のことも、私の世代ではピンとこない。それでも兄の濡れ衣を払拭するため、一身に事件の真相究明にあたろうとする著者の真摯な姿勢が胸をうつ。本書は事件の資料的価値もさることながら、私小説的な性格をあわせもつ読み物としても、充分に読むに値するものだと思う。2018/01/20
ゴリゾウ
0
1942年(昭和17年)5月の朝、新聞は、リヒアルト・ゾルゲ、尾崎秀実らのスパイ事件を大見出しで報じた。・・現代史の謎に迫り、未来に警告する、感動のドキュメント。『カバー』 #716
tkm66
0
・・まあ、当事者の身内だしなあ、ってな覚えが。2001/08/31