感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たか
52
筒井康隆が送る短編童話集。ほとんど平仮名で書かれており、一見、児童向けではあるが、内容は筒井康隆らしいブラックな童話となっている。C評価2018/09/24
hit4papa
41
タイトル通り筒井康隆作の短編童話集。ジュブナイルってことで、小学校低学年ぐらいが対象でしょうか。怪獣化したゴミに蹂躙される人々「かいじゅう ゴミイのしゅうげき」、宇宙の先にあったものは「うちゅうを どんどん どこまでも」、宇宙人に命を与えられた銅像たち「地球は おおさわぎ」、巨大化した赤ちゃん「赤ちゃんかいぶつ ベビラ!」と、風刺が効いたSF作品です。住宅地と団地の住民のいさかいが戦争に発展する「三丁目が戦争です」は、死屍累累で著者らしい毒々さが満点です。小学校はこういうお話しが好きであろうなと思います。2018/01/07
メタボン
33
☆☆☆★ ちゃんとSFになっている童話。放射能物質でゴミが怪獣になってしまう「かいじゅうゴミイのしゅうげき」。止まらない宇宙船に乗ってたどりついた暗黒星雲の中は楽しい秘密の遊び場だった「うちゅうをどんどんどこまでも」。石像や銅像が動き出す「地球はおおさわぎ」。赤ん坊が東京を破壊する「赤ちゃんかいぶつベビラ!」。些細なことで団地の住人達と住宅地の住人たちが戦争を始めることになる一番痛烈な「三丁目が戦争です」。2020/12/20
saga
33
【再読】童話風のひらがなを多用した表記だが、中身は筒井流のブラックな物語に仕上げられている。遠い宇宙からやってきたケイ素生物の力で、西郷さんの銅像や鎌倉・奈良の大仏などが動き出す「地球は おおさわぎ」が楽しい。「三丁目が戦争です」で、高度経済成長期に造成された団地と、マイホームの夢を叶えた住宅地の住民同士が、女子と男子の些細なケンカがもとで、ダイナマイトまで持ち出される戦闘へとエスカレートしていく心理描写は著者の真骨頂と言える。2018/02/12
さっとる◎
27
筒井さんが書く童話集。筒井さんが童話って…不穏な気配(笑)。童話といえども期待を裏切らないブラックな筒井康隆が、童話のかたちを借りた分さらさらっと読みやすい。難しい言葉で残酷な描写や現実とか書かれても普通だけど、こんなに読みやすくこの内容大丈夫!?ってのが筒井さん童話書いても変わらないねって感じで嬉しい(笑)。「3丁目が戦争です」のラスト二行が秀逸。2015/07/16