内容説明
ソ連軍による8月攻勢が始まる。150機を超える爆撃機の攻撃に続いて3時間に及ぶ一斉砲撃、そして機械化部隊の3方向からの侵攻。頑強に抵抗する日本軍を火力で圧倒するソ連軍は、補給のない陣地を一つ一つ蹂躙し、戦線の維持は不可能となる。ついに第23師団長・小松原中将は自決を覚悟する。
目次
第21章 フイ高地撤退事件
第22章 窮余の対応
第23章 二個旅団の空しい反撃
第24章 閉じられた鉄環
第25章 寸断されたバル高地
第26章 第二十三師団の壊滅
第27章 大命に反抗する関東軍
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
59
8月下旬の圧倒的軍事力の投入によるソ連軍の攻勢により、ほぼ完璧に日本軍が打倒される様を描く。ただし例によって主な史料が日本側のものであるため、局面ごとでは日本が健闘した書き方。また辻参謀についてはその見解を支持する面もありながら、批判者(例えば五味川純平)の呵責のない意見も採り上げるなど結構微妙だ。9月に入った段階で、ソ連軍の実勢を過小評価し、再攻撃(戦場清掃目的とのことだが)を目指す関東軍(実質は服部・辻コンビ)の情勢分析の甘さは、日本陸軍の欠点を見事にさらしている。しかし連隊旗に対するこだわりが凄い。2021/10/22