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朝日選書
日本人の死のかたち―伝統儀礼から靖国まで

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  • サイズ B6判/ページ数 218p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022598554
  • NDC分類 389.1
  • Cコード C0320

内容説明

日本人は、「死」「遺体」「霊」をどのようなものととらえてきたのだろう。「葬送」「野辺の送り」など、かつて多くの地域で行われていた伝統的な死者儀礼はもはや見られなくなったが、古来、日本人は「死者」という存在を信じ、死者への働きかけ、語りかけによって、その「霊」を祀ってきた。近代日本がいくつもくぐってきた戦争という極限状態のなかで、「霊」はどう扱われたか。膨大な戦争手記、県史を読み解き、自らの死の瀬戸際で仲間を弔おうとする兵士たちと、死者の霊を統合・管理して靖国へと導いた国家の姿を浮き彫りにする。

目次

第1部 死に慣れ親しんでいた日本人(政治的力としての死―靖国神社の例;「日本人は死をタブー視する」という言説 ほか)
第2部 「死者」とは何者(「親を見送る」が意味するもの;かつての葬送・現在の葬儀 ほか)
第3部 さまざまな死のかたち(残り、あと二週間;がんばれ、もうすぐ死ねる ほか)
第4部 兵士の遺体処理と慰霊のかたち(日中戦争における戦死者の遺骨;太平洋戦争における遺体処理 ほか)
第5部 靖国神社の政治性を支える死の文化(「遺骨」を「遺体」、「遺爪、遺髪」を「遺骨」と読み替える論理;「留魂砂」における戦死者の霊魂と身体 ほか)

著者等紹介

波平恵美子[ナミヒラエミコ]
1942年福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業。1968年から3年間米国テキサス大学大学院人類学研究科留学(1977年、Ph.D.取得)。1973年九州大学大学院博士課程単位取得満期退学。佐賀大学助教授、九州芸術工科大学教授を経て、現在はお茶の水女子大学教授。文化人類学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぼっせぃー

1
前半の日本人の死についての見方については取り立てて新しい知見があるわけではないが、ケースのひとつひとつに読み甲斐がある。しかしながら後半の、靖国というシステムを介し時の国家が、死生観を転用する形で肉体に対し魂の優位性を説き、その結果として死を政治利用することに繋がったという分析は正しいのかもしれないが、前半で筆者が提示した「死に慣れ親しんでいた日本人」がその習慣を失ってどうなっていくか、のアンサーとして呼応しておらず、1冊の本として精彩を欠いてしまう構成のように思える。2020/08/27

まことさん🌈山下真実@対話カフェ

1
全体を読んで、日本人の死、「死者」についての観念、それに基づく儀礼の意味についての示唆に富んだ解説は、非常に興味深かった。日本人が「死者」や遺体、霊についてどのように捉えてきたのかを知る良い資料となった。また、その日本人の死についての観念と、戦時中の非常事態における対応、その変化については、数多くの資料をもとにしたリアルな解説がとても分かりやすかった。ひとつひとつが、日本人の死に対する観念の表れであり、歴史の中でそれが変化し、今に、靖国に至っていることが分かった。2012/10/31

MIRACLE

0
日本的な死のありようと、近代以降の死者の政治性について論じた本。筆者は、本書の後半で、日本軍が兵士の身体を死後も支配・管理したことへの批判を、何度も繰り返している。しかし、近代の軍隊にとって、戦死者の処置(=管理)は、戦争の一環となっているので、筆者の批判は見当違いである、2017/11/18

kunugi

0
誰かに見送られることによって初めて、死体が『遺体』となり、『死者』となる。孤独死に対して感じる茫洋とした恐怖はそのまま、この日本で生まれ育ち、近い感覚を共有する多くの日本人に囲まれることで培われた、いかにもな「日本人らしさ」なのだと感じた。そのプロセスに意味がある、見送られる人から見送る人へのメッセージ性があると信じるからこそ、死を看取られたい、そして死後の姿はなるべく生前と近いものでありたいと願うんだろう。壮健な状態からあまり間を置かずに逝ければなお良し。長野の寒村で見たぴんころ地蔵をいまだに思い出す。2017/08/02

0
葬儀社が葬式をとり仕切るまでは、遺族とその共同体が、独自に行っていたようである。2015/07/18

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