内容説明
ロンドンっ子は自転車に夢中―若き漱石が案内する歴史の旅。
目次
鳶色の霧
ヴィクトリア女王死す
南亜戦争
クレイグ先生
地下鉄に乗る
古本屋めぐり
分冊出版を買う
「芝居は修業の為」
漱石「入浴ス」
アールズ・コート軍事博覧会
「下宿ノ飯ハ頗ルマヅイ」
「ウチノ女連ハ一日ニ五度食事ヲスル」
カルルス塩を飲む
「ペンガ饒舌リダシタ」
「小便所ニ入ル」
絵葉書を子規に送る
子供の独楽遊び
ストリート・ミュージシャンたち
四つ辻掃除人
エプソム・ダービー
「女ノ酔漢ヲ見ルハ珍シクナイ」
自転車に乗る漱石
「ラスキンノ遺墨ヲ見ル」
「妻ヨリハンケチ二枚送リ来ル」
著者等紹介
清水一嘉[シミズカズヨシ]
1938年神戸市生まれ。東北大学文学部卒業、同大学文学研究科修士課程修了。現在、愛知大学文学部教授。専攻は英文学、英国文化史
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感想・レビュー
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Gummo
7
『漱石日記』を読んで、ロンドン留学時代(1900-02)の漱石のことをもう少し詳しく知りたいと思って手に取った本。豊富な図版を交えながら、100年前の倫敦の風景・風俗が詳細に叙述されており、まるで時間旅行をしているような気分になる。茶褐色の霧、ヴィクトリア女王の葬列、公衆浴場、不愉快な地下鉄、古本屋巡り、なかなか乗りこなせない自転車、芝居見物、下層階級の暮らしぶり、絵葉書ブーム、エプソム・ダービーの狂騒、下宿の不味い飯などなど、漱石が体験した世界を追体験できる1冊。漱石先生と倫敦に興味のある方にオススメ。2012/12/26
かい
4
100年前のロンドンにタイムスリップして、漱石先生の行動をウォッチング!という内容。自転車に乗るだけでなく、絵はがきを出したり、古本屋に通ったり、公衆浴場でさっぱりしたり、下宿のメシのまずさに辟易したり。先生のことだけでなく、100年前の街並みを知ることが出来たような気がします。先生!2009/08/16
印度 洋一郎
3
十九世紀から二十世紀への変り目にロンドンに留学していた夏目漱石の日記やエッセイから、「漱石の見たロンドン」を探る英文学者のエッセイ。お題は、地下鉄、古本屋街、劇場、ストリート・ミュージシャン、子供の独楽遊び、四辻掃除人、自転車など幅広い。特に、「下宿の食事は頗る不味い」から始まる、英国の食事の歴史には力が入っている。そして、漱石がいた時期に大流行した絵葉書も又興味深い。しかし、漱石の日記とチャップリンの自伝に接点があったとは驚く。動物役で初舞台を踏んだ11歳のチャップリンを、漱石が見ていたかもしれないのだ2020/03/08
あめりこ
1
宿泊した旅館のパブリックスペースにあったので手に取りました。100年前の霧の街ロンドンの生の様子が垣間見れてとても興味深かったです。2013/01/14
でっていぅ
1
100年前の倫敦で、漱石は豊かさの可能性が大きく広がっている世の中を見た。それと同時に其の中で貧しさに甘んじなければならない人々も多く見た。その苦痛は重い。現代ではさらに苦しくなっているのでは。2010/12/21