内容説明
20世紀最高のチェロ奏者・指揮者カザルス。90年を超えるその生涯で、第1次大戦、スペイン戦争、第2次大戦を体験した彼は、限りなく人間を愛する一方、抑圧者とは決して妥協しない闘う芸術家でもあった。ヴィクトリア女王からケネディ大統領までの、幅広い交遊の記録は、そのまま歴史の証言といえる。
目次
1 年齢と若さ
2 キリスト降誕
3 修業時代
4 マドリード
5 祖国
6 新しい時代の夜明け
7 われら地球家族
8 嵐の中に
9 バルセロナの音楽
10 サンサルバドル
11 勝利と悲劇
12 捕らわれの日々
13 プラードへの帰還
14 〈エル・ペセーブレ〉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
abiquiu
4
以前、プエルトリコでカザルスのデスマスクを見たことがあった。 行く前にこの本を読んでいたら、また違った想いで見られたのに・・・ 人生は後悔の連続です・・・2015/12/07
アマヤドリ
4
バッハを2曲弾くことを朝のはじまりとしていたカザルス。音楽家としての魅力はもちろんだけれど、自由や平和への想いに打たれた。2009/03/21
Fumi Kawahara
2
チェロの奏法を変革した人。スペイン内戦は読んだことないなぁ・・・色々ご苦労されたんですね。あの時代の人たちは、ほんとに苦労ばかり・・・ちなみに、『ゲルニカ』については、空爆で死亡した人数が二千人ほどと聞いて、広島・長崎・東京その他の感覚を持つ日本人として「それだけ?!」と思ったし、ピカソが愛人たちが大喧嘩したのを眺めて描いたと知って、「芸術家はこれだから!!」と思いましたね。いや、同じパブロでも、カザルスはそんな人じゃないと思いますけど、80にして20代の妻を娶るとか、やっぱり「芸術家は!」かな・・・2021/05/15
Kan
2
カザルスの人生が想像していたより遥かに壮絶だということに驚いた。長生きした彼の生涯は2度の戦争など陰惨な現代史そのものとオーバーラップする。彼の平和への願いの言葉はは自身の経験から来ているので説得力がある。 音楽への謙虚な姿勢にも心打たれる。たしかにバッハを理解できる人間に生まれたことの信じ難い奇蹟に、自分も感謝しないと。2019/03/04
fumiko212
2
【父蔵書】はっとする言葉が何度も出てきた。読みながら何度も涙が出た。読み終わってすぐに、また最初から読み返しています。カザルスがチェロを選んでくれたことを音楽の神様に感謝したい。常に、自分の行動が正しいかを自問し、自己に対して正直であり続けた人だった。2009/10/18