内容説明
伝説の桃源境も、蓬莱山も、あの『西遊記』も、根底には「ひょうたん」のイメージがある。中国文化の時空観を解きあかす円熟のエッセー集。
目次
1 楽園と地獄(地上の楽園について;ひょうたんのある風景;銅鏡と八卦図;中国人における死と冥界;古代中国人の「あの世」観;ひょうたんとしての崑崙;銀漢渺茫)
2 北海と砂漠(レザレクション湾にて;オホーツク海の風景;砂漠と熱帯雨林;銀河はロプ・ノールに注ぐ;幻聴談義;楼蘭の詩;空から見たカレーズ)
3 南海の誘惑(長江をめぐるひょうたんシンボリズム;魂はジャワの国に…;蓬莱は南海へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信
1
マクロコスモスとしてのひょうたん等、中国人の空間認識に関わる論考とアラスカや楼蘭故地への紀行文を集めた雑文集。形而上学的なひょうたんシンボリズムは具体的な実証性に乏しく観念を弄んでいるように見えるのだが、古代中国人が死後に向かう先としての崑崙が張騫の鑿空によって神秘性を喪失し、仏教の受容とともに泰山へ移行、そして泰山に重ね合わせていた蓬莱のイメージが、日本の発見により羅浮山へ南下するという筋書きは妥当性はともかく新鮮に感じた。漂流者が見たトドなど海獣が女人国伝説のソースという指摘は面白いが夢がないですね…2021/10/25
はにゅ
0
中国文学研究者、とくに「西遊記」訳者で有名な中野さんは、面白い切り口で中国思想を論考してて面白いのです。2007/06/10