岩波現代文庫
役人学三則

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  • サイズ 文庫判/ページ数 217p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030070
  • NDC分類 317.3
  • Cコード C0132

出版社内容情報

役人の硬直ぶりは,昔も今も解決できない難問である.近代日本の代表的法学者が,保身・権威主義・形式主義に固まる役人根性を撃つ痛快辛口エッセイ集.自由な精神が弾ける.

内容説明

「およそ役人たらんとする者は法規を楯にとりて形式的理窟を言う技術を習得することを要す。」国家と国民を法律で媒介すべき役人の硬直ぶりは、昔も今も手におえない難問である。近代日本の代表的法学者が、保身・権威主義・形式主義に固まる役人根性を撃つ痛快辛口エッセイ。大正デモクラシーを呼吸した自由な精神が弾ける。

目次

役人学三則
役人の頭
嘘の効用
小知恵にとらわれた現代の法律学
新たに法学部に入学された諸君へ
法学とは何か―特に入門者のために

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

獺祭魚の食客@鯨鯢

15
役人は「休まず、遅れず、働かず」を守っていけば出世できると説く。反語的言説かと思っていましたが、昨今の霞ヶ関を見ると、この三則を守らなかったため事件に至ったのではないかと思わざるをえません。忖度は本来日本人の美徳ですが、上下関係や利害関係においては逆に指弾のネタになります。組織は弱者を生け贄にして事件にケリをつけます。古来日本には御霊信仰があり、この世へ未練を残して死んだ人間を神として祀る文化があります。平将門など靖国神社に祀られている戦死者もそうです。森友問題で亡くなった方も誰かに祟るかもしれません。2018/04/13

ヤギ郎

12
法学者・末弘厳太郎のエッセイ集。役人の心構えからはじまり、法学部での勉強について、そして法学とは何かを語る。法学部へ入学する新入生に強く進めたい。裁判官も「いかに化石し、いかに没常識であっても、ともかく「人間」です。美しきを見て美しと思い、甘きを食って甘しと思う人間です。」(86)。堅いことばかり書いていそうなイメージのある法律学者ですが、本書は柔らかく温かいです。でも、法学です。2019/02/06

しゃん

12
学生時代に読んだ「嘘の効用」(日本評論社版)をもう一度読みたくなって、そして、「小知恵にとらわれた現代の法律学」という所収論考のタイトルに魅かれて本書を手に取った。全編を通して、末広先生の一貫した鋭い指摘(「法律は人間のために存するもの」、「日常生活に法律は禁物」など)に目から鱗。法律が社会において持つ意義と法律の限界を見極めたうえで、法律学を科学的に高めようとする姿勢に感銘した。大正時代の論考が多くあったが、古いどころか、複雑な現代においてこのシンプルで強靭な主張はますます輝きを放っているように感じた。2017/01/09

壱萬弐仟縁

7
第1条は広く浅く教養を。第2条は法に則り形式根拠の技術を習得。第3条は縄張り根性。しかし、第1条と第3条は矛盾している。3条はセクショナリズム。これを是正するのがマイナンバー制度の窓口一元化であろうが。東大話法の原点はどこにあるのか、という目でも読める。良心と常識。常識は時に、納税者からすればこのご時世にまだボーナスをもらっている、という目で見られていることを彼らは忘れてしまっている。借金が多いのに減らす努力をしない。これでは行政不信深刻。嘘を嘘でないかのようにうまく嘘をつくのは結果的に国民にとって不幸。2012/12/13

Monsieur M.

5
昔々のその昔、今を去ること17年前に、それなりに売れ、評判になった本(ベストセラーになった、とまではいえない程度に、であったと思う。)。巻末の「解説」で編者の佐高信が言及しているのを読んでもわかるとおり、当時は大蔵省金融不祥事の直後で、官僚の不祥事が次から次へと明らかになり、激しい公務員バッシングの嵐が吹き荒れていた時代。著者の末弘厳太郎は戦後に中労委会長も務めた民法学者で、本書は、看板に偽りありというか、表題作はわずか10ページ強しかない。(続く)2017/11/15

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