岩波現代文庫
過越しの祭

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  • サイズ 文庫判/ページ数 190p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020552
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

画家として自由を求め渡米した道子.ユダヤ人作家と結婚したが,文化の違いから何かと衝突してばかり.そして生まれた子どもは脳に障害を持ち….そんな道子の予期せぬ闘いを大阪弁を交えストレートに描いた芥川賞受賞作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

193
第94回(1985年)芥川賞。 この時代のアメリカの風景満載の作品である。 ロスから ニューヨークへ…ユダヤ人の アルと結婚して 子供を育てながら、ようやく得た一週間の休み …物語はアメリカの家族間の微妙な感情を 鬱陶しく描く…因習から逃れようとして 別の 因習に悩む私の心情が前面に出た作品だった。2017/11/12

kaizen@名古屋de朝活読書会

140
【芥川賞】ユダヤ人と結婚した日本人。ユダヤ人の家族をここまで描いてもいいのかと思うくらい、微に入り細に入り描写する。ユダヤ教、習慣をはじめ、装身具など。国際結婚の難しさと、異文化に入っていく場合の女性の視点が勉強になった。2014/02/04

ヴェネツィア

65
1985年下半期芥川賞受賞作。55歳での受賞。著者はアメリカで、作家のグリーンフェルドと知り合い結婚。次男の子育てとの両立の困難から自身も画家から作家に転身した結果である。本書はロスに暮らす、わたし(ほぼ作家自身であると思われる)が夫と長男と共に休暇(のはずであった)で出かけたニューヨークでの、わずか2日間を綴っている。自由を求めてアメリカに渡ったはずが、夫の出自のユダヤ社会は三千年昔からの因習を守り続けていたのだった。大阪弁での1人称語りはうまく完成度も高いのだが、このあたりで完結しているような印象だ。2013/06/01

hit4papa

57
国際結婚し米国で暮らす日本人主婦の日常を切り取った二作品からなる作品集。女性の自立を望み渡米したものの、二人の10代の息子のうち弟は、脳の障がいのため介助が必要であり、旦那は極度の癇癪持ちで理想からは程遠い生活です。「遠来の客」は、身体が大きくなって手に余るよる息子を遠い施設に預ける家族の道中とその後、「過越の祭」は、そんな一家の家族旅行の一コマが描かれています。出口の見えない辛さはあるものの、負けん気の強い主人公の関西弁が、深刻さを和らげます。理不尽に沸騰した旦那との言い争いは快活さすら感じるでしょう。2023/03/06

たぬ

28
☆4.5 芥川賞受賞作を読もうシリーズ。かなり好き。次男が脳障害、癇癪持ちの夫(「魚や肉はビニールに包んだまま冷蔵庫に入れるな! 腐るだろ!」には私も唖然)、生活習慣も宗教観もまるで違う異国暮らし、厄介な小姑等々どれか一つでも神経削られるのに全部一気に。アメリカって自由の国と言いつつもわりと同調圧力が強いよなあ。それらに対して大阪弁で文句を飛ばす道子さんがスカッとする。2022/08/16

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