出版社内容情報
恋愛事件などのエピソードをふんだんに紹介しながら中年の悩みや迷い,人間くさい生き方を息子の目で活写.歌人としての脂がのりきった時期の茂吉の秀歌を,新しいまなざしで読み解く.昭和の時代状況の中で純粋な生き方を貫いた歌人の姿がいま鮮やかに蘇る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
今回はどちらかというとスキャンダラスな感じの事件が中心となっています。自分の身内の恥を息子とはいいながらもかなりきめ細かく書いています。今でいえば文春砲にかなりやられたという感じです。茂吉の奥さんや茂吉自身のことです。ですので今までの2冊と比べる茂吉の作品が少ないように感じました。2024/04/18
フンフン
7
茂吉は妻のダンスホールスキャンダルで「精神的負傷」を負う。その後、永井ふさ子と燃えるような恋愛にのめりこむ。昭和9年9月16日の子規33回忌で初めて会ったときは、ふさ子24歳、茂吉52歳。年の差ほぼ30歳! ゲーテは73歳で18歳の少女に恋をしたというけど、茂吉の日記や手紙がすごい! 息子もビックリしたろうね。2022/04/16
芋煮うどん
6
20年近く前に買ったままだった一冊。俳句をかじりはじめた今、茂吉の秀歌のすばらしさが身にしみる。ただし、駄作もたくさんあることがよくわかる。次男、北杜夫は一歩ひきながらも、さすがの筆致。ほかの2冊も早く入手せねば。 2020/12/28
方々亭
5
北杜夫による父斉藤茂吉の評伝、全四巻の三巻目。昭和四年頃から終戦までを扱う。妻のスキャンダル、別居からの、若い女弟子との恋愛の顛末が山場になってる。五十過ぎてからの恋愛で、何十通もの手紙が残されているが、老境に差し掛かっていると言って良い年齢でここまでアツく直接的な手紙を書いていたことに驚く。しかし本人死後の事とはいえ、こういったプライベートなものまで公表されるというのは因果なものだなと思う。2023/10/09
ゆかっぴ
3
五十代の茂吉の恋愛や、戦争のことなどが描かれる。そのときその時期に作った歌が茂吉を感じさせて興味深い。息子である北杜夫の進学にあれこれ悩む様子にも親としての姿がみられる。2011/12/06