出版社内容情報
英国の圧倒的な物質文明に翻弄され,差別と暴虐に苦しむインド.南アフリカから帰国したガンディーが推進した,暴力と排外的原理主義によらない反英自治運動がめざしたものは? ムスリム勢力との大同団結を阻んだものは?
内容説明
My life is my message.非暴力不服従により社会を民衆の側から変革しようとした、ガンディーの生き方は、いまも汲めど尽きせぬ恵みをもたらす。恐怖と不信に屈すれば真理を見失う。人々の真の自由と独立は、平和を紡ぐ手紡ぎ車から生まれる。「マハートマ」(偉大なる魂)と呼ばれた人の生涯を語る、熱き評伝。
目次
第1章 海を渡った青年
第2章 南アフリカの若き指導者
第3章 マハートマへの道
第4章 塩の行進
第5章 最後の祈り
終章 マハートマの死とその後
著者等紹介
竹中千春[タケナカチハル]
東京大学法学部卒業、明治学院大学国際学部教授などを経て、立教大学法学部政治学科教授。専攻は国際政治、南アジア政治、ジェンダー研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
93
ガンディーという人が気になっていた。平和運動に一生を捧げた人と何かの本でさらっと読んで知っているくらいだ。本を読み始めた。インドやイギリス、南アフリカの歴史は背景にある出来事も多いので歴史暗い私はあまりじっくりと読めなかった。なぜ「ガンディー」が気になったのか、それはリチャード・アッテンボローもアカデミー賞映画のことを知り観たいと思ったことが大きな理由だ。読んでから観るか、観てから読むか・・・私には後者のほうが分かりやすそうだ。再読したい。図書館本2018/02/17
読書ニスタ
37
1948年に亡くなったガンジー。わずか70年前の偉人。最初から英國からの独立を考えていたわけでもなく、非暴力運動を唱えたわけでも、カースト制身分制度の廃止を考えたわけでも、宗教対立のない世界を考えていたわけでもない。彼の人生の前には大戦という最大の暴力の嵐があり、インドとパキスタンとの分裂による200万人以上の死者の出る時代でもあった。日本には本当の自由はあるのか。世界に非暴力の日は訪れるのか。彼の理想が、叶う日は訪れるのか。 行動なくして、結果なし。2019/04/19
壱萬弐仟縁
34
マハートマとは偉大な魂(ⅰ頁)。あるとき、モーハンダースはインドの古典を読んで感動し、財産を一切持たない、と決意(42頁)。1909年ガンディーはイギリスに渡り、本国に南アのインド人移民問題を訴えた。帰りの船上で、『ヒンド・スワラージ』は、中江兆民『三酔人経綸問答』に類似。ガンディーらしき編集長が、若い読者に答えて、インド自立や独立を論じる(51頁)。これは読んでみたいものだ。52頁に写真がある“Indian Home Rule”。2021/05/29
skunk_c
29
比較的裕福な家庭に育ち、イギリスに渡り弁護士を目指す若き日から、極めて優秀なネゴシエイターとして活動する南アフリカ時代、そして民衆の中に入り共に歩む後半生までを簡明にまとめた評伝。自らに弁護士の資格を与えた大英帝国に対するある種の恭順と、紛争における民衆の悲惨さが、非暴力のルーツであり、民衆の支持を得た理由のようだ。一方熟慮と実行力を兼ね備えていたことが、大きな運動組織力に繋がったと見える。政治的には意外と成功していない印象だが、その非業の死のあとにネルーによって「マハートマ」に祭り上げられた面も感じた。2018/03/14
ロビン
22
出生から死とその後まで、時系列順に著述されたガンジーの評伝。世界大戦の嵐が吹き荒れる暴力の時代にどこまでも非暴力を、イスラムとヒンドゥーが対立するインドでどこまでも融和を唱えたガンジー。己と身内に厳しく他人には優しい偉大な彼だが、晩年には厄介な理想主義者として煙たがられさえしたという。釈尊入滅の際にある比丘が「これで口うるさい人間がいなくなった。戒律も柔らかくなるだろう」と言ったというが、ガンジーの死にも似たところがあったのかもしれない。傑出した人格者を厭わしく思う心理ー人間とは一面、そら恐ろしいものだ。2019/11/11