岩波新書
グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310419
  • NDC分類 943
  • Cコード C0297

内容説明

魔女や小人、魔法の鏡、そして継母によるいじめ、動植物への変身…。「シンデレラ」「白雪姫」など19世紀ドイツのグリム兄弟が編んだメルヘンは、今も世界中で愛されている。だが、それらは本当は何を語っているのだろうか。キリスト教が広まる以前の神話・伝承にまで遡り、民衆の習俗や信仰、夢や恐怖に迫る、発見に満ちた案内。

目次

序章 メルヘンとは何か
第1章 「シンデレラ」変身譚
第2章 冬を追い払い、夏を招くシンデレラ
第3章 「眠れる森の美女」よりも神話的な「いばら姫」
第4章 「ホレおばさん」からサンタクロースへ
第5章 「白雪姫」の魔法の鏡の謎
第6章 楽園を追われたラプンツェル
第7章 「蛙の王さま」と「鶴の恩返し」

著者等紹介

高橋義人[タカハシヨシト]
1945年栃木県生まれ。1973年慶應義塾大学大学院博士課程文学研究科単位修了退学。専攻、ドイツ文学・思想。京都大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Takayuki Oohashi

21
洋画「ヘンゼル&グレーテル」を観ていた時、人間と魔女を善と悪の二項対立で描いていて、こんな低俗な映画を皆観ているのか、と思って愕然としたのですが、この本はそのキリスト教下において「魔女」とされる存在が、教化される前の大地母神を象徴しているものだと書いてあって、その作者のメルヘンに対する姿勢に強く共感しました。僕もケルト神話の戦いの女神、モリガンの物語を書くに当たって、現代のディズニーのような脱色化されたストーリーにするのではなく、もっとこの本の分析のような神話的な物語にしたいです。あくまで希望ですが……。2016/09/28

musis

19
たいへん面白く読んだ。星の銀貨などの例から、物語の背景には当時どうにもならない過酷な現実があり、それを克服する夢がメルヘンとして表されていると初めて感じて、なるほどと思った。動物と人間との関係性も興味深かった。2014/04/29

シルク

11
むかし話おとぎ話の中に色々、お気に入りの話がある。鉢かつぎ姫、ラプンツェル、白鳥の王子、美女と野獣。あーあと、あわんぶくこめんぶくも。これらのお話が色んな異なる話者によって語られるのを読むのが好きだ。また、自分でも、頭の中で情景を思い浮かべながら、大好きな物語を自分の言葉で語るのが、好きだ。そういうのを「再話」と言うんだよと、この本が教えてくれた。2014/11/17

ティス@考える豚

10
グリム童話の中で特に有名なものの神話からの観点や日本童話と結び付けての考察で中々為になった。『蛙の王様』に関しては理解し難い所があるが、『死=新しい人生の始まり』のような輪廻的な要素が入ってるのではないかという私見がある。どの話だったか、小人か妖精の話で 助けた主人公に自らの首を刈るように懇願する物語があった。首を刈ることで元の姿に戻ることができるという。私は非常に恐ろしく思ったが、その反面興味も持った。しかし、グリム童話とか文学評論はどんな取り方も可能だからたまに突飛な意見もあり苦笑してしまう。2011/02/10

中島直人

8
童話を通じて、ヨーロッパの深層心理に迫ろうとするも、学術的に誠実であろうとするあまり、鋭さやエッジに欠けている印象。物足りない。苦労して200ページまで引き伸ばした感強し。2016/06/11

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