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岩波新書
小説の終焉

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004309086
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

内容説明

二葉亭四迷の「浮雲」から始まった近代小説でテーマとされてきた「私」「家」「青春」などの問題はほぼ書き尽くされ、いま小説は終焉を迎えようとしている。百二十年の歴史が積み上げてきたその豊饒な世界を語るエッセイ。芥川龍之介、志賀直哉、太宰治、大江健三郎、村上春樹など時代を画した作家をとりあげた近代日本文学案内でもある。

目次

私の終焉―最も個体的な自意識の最も個体的な行動
家の終焉―お雪は彼の奴隷で、彼はお雪の奴隷であった
性の終焉―躯に溺れる男、自我を凌駕する女
神の終焉―踏むがいい
芥川龍之介の終焉―理智の文学
志賀直哉の終焉―自我と自由
川端康成の終焉―日本と向き合う
太宰治の終焉―家からの逃亡
大江健三郎の終焉―自己(セルフ)の死と再生(リザレクション)の物語
村上春樹の終焉―正統なき時代の正統〔ほか〕

著者等紹介

川西政明[カワニシマサアキ]
1941年大阪市に生まれる。1965年中央大学卒業。河出書房新社に入社。文芸編集者生活を経て、三十年間文芸評論活動に専念。著書に『わが幻の国』(講談社、第25回平林たい子文学賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

69
日本の文学史をある視点から俯瞰したものだと思いました。終焉という言葉をもって、私小説や家、性などを主体とした小説について全般的な評価を行い、この筆者の好みである、芥川龍之介、志賀直哉、川端、太宰、大江、村上春樹を取り上げて論じています。これらの作家を好きな方にはいい読書案内です。2015/10/03

Haruka Fukuhara

7
新書としては稀に見る当たりだった。日本で一番小説を読んでいる一人と自認する著者だけあって、理論に逃げることなくしっかりと小説を読んでいるように見受けられる。その上でエッセンスを整理して提示してくれるので小説好きにはたまらない一冊ではないかと思う。無味乾燥な文学史とは一線を画する。ただ、作家の生々しい人生の記述が読んでいて疲れる。島崎藤村の項は特にしんどい。芸術家は他人を犠牲にしてまでやる価値のある仕事なのだろうか。人生観が表われそうな問いかけ。2017/02/25

矢田絵美里

3
★★★★☆ 内容は難解で理解出来ないところがあったが、興味深いと感じた。文学について感心がある人には、お薦めしたい。現代小説家に要求されるものは大きいだろう。2009/08/25

まふ

1
これまでに日本人の小説家たちが書いてきた小説は、どれもが十二分にその目的を達成できた。従ってこれらの小説を超えるような立派な小説は出て来れないであろう。その意味で「小説は終焉した」というのがこの著の主張。言わば、明治以来の日本の小説史である。「私」「家」「性」「神」「戦争」「革命」「原爆」「存在」歴史」が日本文学のテーマであった、らしい。しかし、この著者の挙げる作家のうち、私が如何に読んでいないかが実によく分かる。面白そうだ、と感じたのは、武田泰淳、島尾敏雄だ。読んでみたい。2006/08/30

トマス

1
『昭和文学史』『新・日本文壇史』を編んだ著者が、圧倒的な読書量で日本文学の到達点を総括する。Ⅱ章は芥川、太宰、大江、村上春樹などの終焉を挙げていて興味を持ったが、他は未読が多すぎて話を追いきれず。今後のための近代日本文学案内として使うのが良さそうです。2020/07/02

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