岩波新書
メルヘンの知恵―ただの人として生きる

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  • サイズ 新書判/ページ数 194p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308829
  • NDC分類 909.3
  • Cコード C0298

出版社内容情報

「はだかの王様」とは私たち自身のことではないか.「死神」の物語は,私たちに死への不安を克服させてくれるのではないか.アンデルセン,グリムの童話の中に,現代人への思いがけぬ示唆や限りない励ましを読みとる.

内容説明

アンデルセンの描いた「はだかの王様」とは、実は私たち自身のことではないだろうか。グリム童話の「死神」の物語は、誰もが抱く死への不安を克服させてくれるのではないか。子ども向けとされがちなメルヘンの中から四作品を選び、そのストーリーに、現代を真摯に生きようとする人びとへの思いがけぬ示唆や限りない励ましを読みとる。

目次

1 “ただの人”として生きる―アンデルセン『皇帝の新しい着物』を読む(皇帝の“新しい着物”;ペテン師のはた織たち ほか)
2 “ただの人”と“英雄”とのあいだ―グリム童話『いさましいちびの仕立屋』を読む(ある夏のあさ;偉大な自己発見 ほか)
3 “別の自分”と出会う―グリム童話『ふたりの兄弟』を読む(二組のふたり兄弟;森の中の出会いと別れ ほか)
4 生と死を考える―グリム童話『死神の名づけ親』を読む(現代人にとって死とは何か;死神との出会い ほか)

著者等紹介

宮田光雄[ミヤタミツオ]
1928年高知県に生まれる。1951年東京大学法学部卒業。1960‐62年西ドイツに留学。専攻は政治学、ヨーロッパ思想史。現在、東北大学名誉教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

10
私たちの生活システムや人格構造が硬直化し停滞してしまっているような場合、変化や転機が求められます(16頁)。日本社会は失われた20年。25年。その指摘はそのまま日本人にあてはまる。低評価を恐れるのは、われわれが普通の人と思われるのが嫌だから(44頁)。だが、昔は大衆社会、画一化の時代でもあった。鳥は飛翔する精神、黄金は人生の完成(95頁)とのこと。黄金の鳥の象徴するものはかくも気高い(95頁)。メメント・モリ=死を恐れるな は、目覚めていよ(183頁)。生と死を正視しつつも、変化を恐れない人生を思った。2013/08/20

東雲

3
登録以前2013/09/04

まりん

1
アンデルセン童話『皇帝の新しい着物』、グリム童話『いさましいちびの仕立て屋』『ふたりの兄弟』『死神の名づけ親』からそれぞれ、先入観や欺瞞、レッテル、過信や妄想、死への過剰な恐怖や生への執着を乗り越えることによって、「ただの人」に戻るのだという教訓を読み解いている。新書にはありがちだが、心理学や西洋文化におけるメタファーなどの確固たる根拠を用いている部分と、筆者による無根拠な持論とが混在していることは否めないので、自分で情報を取捨選択する必要がある。2017/04/26

13km

1
人間は物語から学ぶのが一番学びやすいのか。電化製品などの読みづらい説明書も物語風にしてくれればわかりやすいのに。2013/04/17

まりん

0
アンデルセンとグリムの童話それぞれから、古来よりのモチーフを読み解きながら隠されたメッセージを読み解くというもの。グリム童話研究の一環として手に取ったが『はだかの王様』に関する章を最も興味深く読んだ。社会的な役割によって雁字搦めになった大人と、しがらみに囚われない子供という対比。「はだか」になって、己のあるがままに、ただの人として生きることを推奨するメッセージは、先日読んだ『星の王子さま』に通じるものがある。こうした童話に繰り返し挙げられるこのテーマが、大人の大きな問題であることが良くわかる。2017/12/20

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