岩波新書
田中正造

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 x,22/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004202745
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0300

出版社内容情報

近代文明の暗部ともいうべき足尾鉱毒問題を半生涯かけて追及した田中正造.その類いまれな思想と行動力は,どのような条件のもとで形づくられ,貫かれていったのか.従来あまり知られなかった民権家としての活動をも丹念にたどり,終始一貫農民の立場に身をおいて戦いつづけたこの「人道の戦士」の壮絶な生涯を生き生きと描きだす.

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

3
足尾鉱毒問題で知られる田中正造の評伝。彼が足尾鉱毒問題、特に谷中村の問題に身命を賭して取り組んだのは、彼の生まれた村での名主の経験、自由民権運動への関わり、そしてその経験から得られた彼の憲法観が大きく影響していることがよく分かる。そして足尾鉱毒の被災地・被害者の状況が福島第一原発事故の被災地・被害者の今の状況とほとんど変わらないことに驚いた。100年以上経っても何一つ変えられなかったのか。もしあの世で田中正造に会ったら恥ずかしくて顔を合わせられそうもない。2013/07/23

拓陽(いっぽまえへ)

1
昨年、新聞の小さなコラムで田中正造氏を知り、その後NHK「足尾から来た女」を視聴し、ニュースでは山本太郎議員が天皇陛下へ手紙を渡す事件で田中正造氏の直訴が取り上げられ、氏に興味があったものだから何かと注意が向いたのだが、ようやくこの書に辿り着いた。一言で表せれば、“不撓不屈”の人。これだけ国に対して堂々正義と信念を構えて戦った人がいるのだろうか。そんな感想を持った。亡くなった時に渡良瀬川の小石を持っていたという記述は泣かされた。「足尾から来た女」の柄本明から尾野真千子へ小石を渡すシーンが思い浮かんだ。2014/03/05

たぬきのしっぽ

1
田中正造の生涯を紹介した本。特に、足尾問題に至るまでの過程が詳しいく、民権論の影響で政治を志した田中の歩みがよくわかる。足尾問題にからんで、田中は日本はすでに「亡国」だと国会演説で喝破した。それに対し政府は「質問の趣旨その要領を得ず、依て答弁せず」(162頁)。帝国主義の道をひた走っていた政府にとって「亡国」ほど理解しにくい言葉はなかったのだ。あと、天皇直訴を批判し、また谷中残留民を愚かでも弱くもないとして見守る木下尚江の態度も印象的。足尾支援者でありながら田中との対比が鮮やかだ(170頁、199頁)。2013/05/12

あきら

0
アンコール復刊で再読。というかこの時代にこそ読み次がれるべき書物が版切れだったことのほうが驚き。このタイミングでのアンコール復刊、ありがたい。ま、刷った分のみですが。「民の犠牲になりたっての公は矛盾している」と、あらゆる権力の都合のいいことをおかしいと言える。当たり前のようでかなり棘道だっぢろう。今ひとたび、全員が田中正造のようにならなければねらない。2013/10/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/896199
  • ご注意事項