出版社内容情報
言語は社会の特質を反映するが，社会を規定することもある．日本語は日本社会での女の位置を見事に反映している言語であり，同時にそのような言語のありようが，女の生き方に深刻な影響を与えている．著者は，自らの調査による国語学研究に基づいて，日本語と女のあり方との相互関連を解明し，女の主体的な生き方の方向を探る．
内容説明
日本語は日本社会における女の位置をみごとに反映している言語であり、同時に、そのような言語のありよう自体が女の生き方に深刻な影響を与えている。女らしいとされることばや歌謡曲の歌詞の分析調査、また、ものを言うことの意味を学んだ農村婦人の闘いの記録を通して、日本語と女の相互関連を解明し、女の主体的な生き方の方向を探る。
目次
１ 女らしさとことば（女らしさについて；日本語における女らしさの構造；日本語と女らしさ）
２ 日本語と女の暮らしとのかかわり（うたの中の女；はみで女；ある農村婦人グループのたたかい；夫婦げんかの世界）
著者等紹介
寿岳章子［ジュガクアキコ］
１９２４年‐２００５年。１９４６年東北帝国大学法文学部文学科卒業。専攻は国語学、婦人問題（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
5
中村桃子の著作をいくつか借りてきたので、そちらへ進む前に本書を再読した▲ 第三章 日本語と女らしさ、［漢語抜きの女の世界］〈今日とのある尼門跡から、「此頃は八百屋の娘でも魚屋の娘でも、漢字に子をつけますなあ」とひどく詠嘆的な調子で言われて、化石的発言とびっくりし、あまりのことに感心さえしたことがある。それも戦後随分たってからで、一九五〇年代のことであった。〉／［私のお前史］〈結婚式も挙げなかった私の両親は、夫婦、親子、姉弟の間にまったく「お前」ということばのない家庭を築きあげた〉。おいお前、は軍隊調か2022/07/02
kenitirokikuti
5
〈清少納言こそ、したり顔にいみじう侍りける人。さばかりさかしだち、真名書きちらし〉（紫式部日記）p.60▲〈女性の感情と関係性を丁寧に描くタイプの百合作品って売れなくて、良質な月刊アンソロジーが創刊されては廃刊になった〉https://togetter.com/li/1208780 ▲かな文字文学という〈女の表記法を時には渇望したのが紀貫之である。…「男もすなる日記といふものを女もしてみんとするなり」と書かねばならなかった〉p.59▲岩波新書 黄版99。刊行1979年。著者は寿岳文章の奥さんだ2018/03/17
k
4
突っ込みたくなるところは多々あったけどおもしろかった2013/12/12
RUI
2
先生に勧められて読みました。やはり、女としては愛され上手になりたいと言うのが私の率直な感想です。枠の中で生きるのも悪くないです。ただ、喧嘩をすることで対等になるっていうことに納得。言葉で歴史がわかるんですね。虐げられていた方々は、本当に気の毒に思いました。2014/11/14
Arthur.
1
“日本語”の研究者が“女”の生きづらかったこと、“女”の力強い在り方を説く。アプローチとして日本語（ことわざ、狂言）。そして、女性の叫びの熱が凄まじい。骨肉に食い込むようだった。生きづらい世に歯を食い縛るだけではなく、強く反発し、大きく前進する。その人間の在り方は、屈強だ。2014/12/04
