岩波文庫
外交談判法

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  • サイズ 文庫判/ページ数 228p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003401910
  • NDC分類 319
  • Cコード C0111

出版社内容情報

ルイ十四世の「偉大なる世紀」はフランス文化史上燦然たる光を放つが,また戦争あいつぐおそろしく不穏な時代でもあった.この時代を外交官として生き抜いたカリエール(一六四五‐一七一七)が,平時にあっての交渉の積み重ね,外交網の完備,専門家としての外交官の養成等について説く.行間にモラリストの観察の目が光る.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

12
マキアヴェッリの簡易版といった趣。フランスにおける外交、交渉の例を引き後世に伝えようという意志を持つ。「男性および女性の主権者に対して当然払うべき尊敬を伴った形での、好意の寄せ方というものが幾つかあるものだ。それを交渉家が上手に示すことができれば、相手を喜ばせるのに大いに役立つ。われわれに対して愛情を示してくれる人々に対して、こちらも愛情を抱かせないでいるというのは難しい。」ただマキアヴェッリほど面白くないのは所々で神なり道徳について言及があることだ。信仰心や道徳の量が交渉と比例するわけではないからだ。2019/08/20

うた

9
最初の数章、交渉の効用や交渉家の資質については吟味しながら読む。応用が利きづらそうな箇所、時々ネタやフランス特有の課題などは飛ばし読み。穏やかに誠実に波風をたてず、かつ必要な情報を得ておく。中々身につまされるところが多い小論である。しかし、ま、この時代のあとフランスがナポレオンやタレイラン、フーシェやロベスピエール達に引っかき回されることになろうとは、この聡明な著者も想像だにしていなかったのかもしれない。2015/05/06

Saiid al-Halawi

7
「大抵の人間は、いかに彼ら自身が非条理であろうとも、やはり理性に対する尊敬は持ちつづけているので、自分は理性のおきてに従って行動していると、ひとに信じてもらいたい。」p.106 意外と軽いノリの内容だったと思う、面白い。終始実践的たろうとしてる。外交交渉にはちゃんと能力ある人間を配置しろってのが主眼かな。2012/03/29

ありうす

5
 モラリスト(≠道徳家)が、外交官のために著した、教科書。超訳になるのかもしれないが、文中の「交渉家」は外交官とする方が通りがいいように思う。しかし、その外交官の一側面に焦点を当てたと言うべきか。「上兵伐謀。其次伐交。」とは孫子の言葉だが、まさにそれを職務とする外交官は「戦う文民」と言えるかもしれない。無味乾燥な所とて無いわけではなかった。しかし読んでいて光景の浮かぶような、ドラマのような事例を数多、実名を挙げたり名を伏せて提示しており、教科書のくせに小説のようで面白かった(流石モラリストの国)。2021/05/28

フェイ

5
ルイ14世の頃の外交術について記された本。現代とは異なり、外交官は世論を気にせず、君主と君主の間で行われる外交(いわゆる宮廷外交)に専念できた。このため、相手国の世論を煽ったり、国内世論への配慮やリークといった要素は全くなく、外交儀礼や威信、適した外交官の素質、相手君主やその近臣との交渉術などが載っている。お勧めである。 ※ファンタジーでは多くの場合、王や皇帝が出てくるが、上記の通り、それらとの外交を描く場合、特に何が当時の外交ルールで非礼に当たるのか等を知りたいときは、この本を読むと良い。2014/10/24

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