出版社内容情報
アリストテレスの愛弟子テオプラストスが,つれづれの興にまかせて,その軽妙犀利な筆をふるい,古代ギリシアのちまたに暮らす民衆の身すぎ世すぎの姿をとらえた人物スケッチ三○篇.「空とぼけ」「おしゃべり」「けち」「へそまがり」「お節介」などなど,どのページにも,いにしえのギリシア庶民のさざめきがこだましている.
内容説明
哲人でも賢人でもない古代ギリシアの平凡な人びとの世態人情、それを明かしてくれるのがこの愛すべき小品だ。アリストテレスの愛弟子テオプラストス(前372‐288)が、つれづれの興にまかせて軽妙犀利な筆をふるった人物スケッチ30篇。どのページを開けても、そこにはいにしえのギリシア庶民のさざめきがこだましている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
42
人さまざまというより人こんなもんだって。利害関係の中で何かの役を演じたり、不誠実になったり。これらを全て漂泊した空気を吸いたいのなら孤高の人となるしかないね。だから読書は人生最高の気晴らしなんだよ。2019/07/03
かんやん
32
アリストテレスの愛弟子で、リュケイオン二代目学頭が残した人間博物誌、といっても、へつらい、噂好き、おしゃべり、けち、しみったれ……などネガティなものばかり。古代ギリシャ人も現代日本人とそんなに変わらんよなと、そんな誰もが抱くような平凡な感想しか出てきそうにないけど、面白い。自分が付け加えるなら、パワハラ上司、KY、マザコン、DV夫、ズル、セクハラプロデューサー、マウントとり、ワナビー、DQNなど……やっぱりネガティブなものばかりだ。2023/04/29
さきん
29
人のいろいろなタイプを分類して評価しているのかと思ったら、主にいやな、嫌われそうなタイプの人間ばかりを論じていた。2000年も前だが、ケチな人とか冷たい人、おせっかいな人など傾向は全然かわらないんだなと当たり前ではあるけれど、そうなんだと改めて思った。2018/12/15
イプシロン
27
古代ギリシャ人も現代人も変わらず、悪徳をもっていたのだと実感。しかし、なんともすっきりしない。その理由は解説を読んで思い当たった。古代ギリシャ人は悪徳をもつ人たちをクスクスと笑いながらも受け入れていたのだろうが、現代人はそうではないのではないかと。悪徳を見つけると、黙っていられずその人に対して悪口や批判や嫌味を平気で口にするという息苦しさなのだろうと。この世に完璧な人間などいない。誰もが一つや二つは悪徳をもち、愚かな部分をもつものだ。そうしたことを受け入れられない非寛容さは一体どこからきたのだろうか? 2023/12/09
くらすけ
23
創作をするときのキャラ作りのに参考になると聞き、読みました。本自体は難解でした。古代ギリシャの慣習を例に人の作法と性格を記述する本のため、頭に残りづらいのです。もし読むとしたらこまめに、紹介されている性格は、行動は知っている人・キャラの誰に近いか?をこまめに思い返して、メモするといいかもしれないですね。ただそうした場合、弊害としては本のニュアンスを汲み取れず、自分の持ってるイメージで解釈してしまう気がします2023/02/03