岩波文庫<br> テアイテトス

岩波文庫
テアイテトス

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003360149
  • NDC分類 131.3
  • Cコード C0110

出版社内容情報

知識とは何か,真にものを知るとはどういう場合を言うのか.当時行われていた三つの知識説をとりあげて批判しつつ,プラトンは哲学というものが,さまざまな角度と立場からの吟味や思考を要求する所以を我々に示している.有名な無理数論やソクラテスの産婆術などのエピソードを交えたこの対話編の面白さは尽きるところがない.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

69
知識とは何かを問う対話篇。無理数論や産婆術の比喩などは当時の数学者やソクラテスの役割の大きさを窺い知れる。感覚即知識説を掘り下げる前半はプロタゴラスやヘライクレイトスの相対思考への吟味・批判に大きな比重が置かれ、場合分けを用いた徹底包囲や知識の不可能性の示唆が鮮烈。後半の正しい思いなし、言論の追加を巡る議論に関しても迂回や脱線は多く、思わぬところで前半の要素との繋がりや背理が出現したりと構成が多次元的でトリッキー。ああでもなければ、こうでもない…否定形でしか追えない「知識」とは実に掴みどころのない難物だ。2021/12/12

壱萬弐仟縁

25
1966年版を参照。プラトン60歳頃の作品(解説295頁)。ソクラテス:視ることは知識すること(82頁)。知は視ることが基本のようだ。しかも凝視すべきだろう。また曰く、知識と知覚が同じか、違うか、更によく見るように(90頁)。了解。身を以て知ることが重要だと理解しております。ただ、知識する、という動詞には違和感がある。知るにまつわる知のあり方を考えるには好適な一冊。2015/02/24

猫丸

19
これは良い方のソクラテスです。難敵に対しイチャモンを連発して相手のエラーを誘うのではなく、年少の学徒テアイテトスの手を取り真性の産婆術に徹するひたむきな情熱が伝わる。議題は知識論。不用意な若者テアイテトスは「知識=感覚」という隙だらけの印象を述べ一蹴される。「知識=正しい思いなし」もダメ。その行き掛けの駄賃にプロタゴラスの「人間は万物の尺度」観もアポリアに追い込まれる。では「知識=正しい思いなし&ロゴス」か?もダメ。結果的に「今日はわからなかったね」で終わる。可知or不可知の議論もエキサイティングである。2020/01/16

ヒダン

17
感覚か、真なる思いなしか、はたまた言論の付け加わった真なる思いなしなのか。知識とは何か?という大きな命題に絡めてプロタゴラス「万物の尺度は人間」説やヘラクレイトスの「万物流転」説、虚偽可能性、ソクラテスの産婆術のくだりなど、サブテーマがとにかく充実した対話篇。正しいことだけ積み上げていったようで気付かぬうちにちょっと違和感を覚える命題に行き着いてしまう。それはつまりもっともに見えた元々の命題が誤りだったのだ。癖はあるし少々難しいけれど、分類、整理、展開と流れていく議論を追いかけていくだけで本当に楽しい。2015/10/17

zirou1984

16
読んでて楽しい(かもしれない)プラトン対話篇シリーズ、本書の副題は「知識について」。構成としてはプロタゴラスの人間中心説や「感覚は即ち知性である」といった説への反駁が中心となり、結論として知性とは何かというものは明示されることなく終わる。若干煙に巻かれたような気もするが、問われている内容に関しては20世紀の哲学問題とリンクするところもあって興味深い。それにしても相変わらずプラトンの書くソクラテスは若い男の子が大好きだ。「それはつまり君が若いからなんだよ、愛する坊やさん」とか完全に口説き文句じゃないですか。2013/03/08

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