出版社内容情報
シューマンは「春の交響曲」や「子供の情景」などの曲で親しまれるドイツ初期ローマン派の作曲家であるが,またすぐれた音楽評論家でもあった.本書はその論文の大半を収めたもので,ショパン,ベルリオーズ,シューベルト,ベートーヴェン,ブラームスなど多数の音楽家を論じ,ドイツ音楽の伝統を理解する上に貴重な読物である.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
60
☆5。マイヤーベーアへの評価が有名な本・・・は別として、訳が秀逸。シューマンが生きていたころの音楽界隈が生き生きと目の前に現われるように表現されている。まあ元々のシューマンの文自体が秀逸なのかも知れないが。ねえ吉田先生。まあでも、最初は戸惑った。出てくる音楽家がその当時の流行の音楽家で、今じゃ誰も知らない人が続々出てくるので。しかし読んでいるうち音楽愛好家たちが、ああだこうだ、喧々囂々としているシーンが眼前に現われるようになって、ああ、今と全然変らんなあと妙に納得した。あとは一気読み。面白かった!2020/10/06
ロッキー
24
クラシックを聴きながら優雅に読んでみた(普段聴かね~のに)。作曲家シューマンが音楽評論家としてベートーベン、ショパン、メンデルスゾーン、シューベルトなどの作曲家を賞賛を交え論じている。リストの演奏会でシューマンが来ているのを知り急遽演目をシューマンの謝肉祭に変更したりと様々なエピソードも描かれている。ただし、自分が音楽に詳しくないが為に理解するのが難しい部分もある。終盤の『音楽の座右銘』の項はとても読みごたえがあった。ー恐らく、天才を完全に理解するのは天才だけだろうー。この本読んでるとそんな気がする。2011/08/11
吟遊
19
シューマンの評論集。または雑文集。「天才」「ベートーヴェン」「シューベルト」がキーワード。ショパンの才もいち早く認めている。19世紀前半の胎動だなあ。2018/06/18
壱萬弐仟縁
15
ドイツ・ロマン派。その後、主観性の抑制と客観性の獲得に関心を抱いた(あとがき)。快活、静穏、優美が古代芸術の特徴(21頁)。10年経って世間の話題になっている音楽というのはそうあるものではない(23頁)。現代も然り。オイゼビウスは、「天才よりも堅実に、根気よく勉強するくせに、目標に到達できないのは、秀才の呪いだ」(33頁)。前者を博士様、後者を博士後期課程修了者とするとわかる。「元来、人間というものは、天才の仕事場に対してはある遠慮を感じていて、ちょうど自然が木の根を土で蔽い隠して、心の優しさを示 2014/01/29
ポメ子
6
ドイツの作曲家シューマンによる、音楽と作曲家についての評論。 ベートーベンや、バッハに対しては、大きな尊敬の眼差しで語られており、その他、ショパン、ベルリオーズ、シューベルト、リストなども好印象で記されている。この批評は、大体、1830年代から、10年間、シューマンが輝いていた時に書かれていたものらしく、だんだんと音楽が、理想と違ってきたことも一因として、記す事も減ってきたらしい。しかし、そうした失意の中に現れたのが、ブラームスであり、彼の活動に期待している様子が最後に書かれていた。2019/04/14