出版社内容情報
フランス革命の時代,既成の権威に屈せず生きたベートーヴェン(一七七〇‐一八二七)――その音楽の発展過程を浮彫りにすべく編まれた本書簡集は,また栄光と悲惨が交錯する生涯を髣髴と浮び上がらせる類いまれなる人間記録でもある.厳選された書簡と最新の研究成果を盛りこんだ懇切な解説からなる「ベートーヴェン書簡集」の新編決定版.
内容説明
フランス革命の時代、既成の権威に屈せず生きた「楽聖」ベートーヴェンの生涯とその音楽の発展過程を浮彫りにする書簡集。上巻には、反動荒れ狂うウィーンの社会状況を伝える便り、難聴を打ち明ける遺書、今なお宛名をめぐって議論の絶えない「不滅の恋人」への愛の手紙等々33通の書簡を厳選した。
目次
ヴィルヘルム・フォン・シャーデン博士
エレオノーレ・フォン・ブロイニング
エレオノーレ・フォン・ブロイニング
ニコラウス・ジムロック
フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー
ヨーハン・アンドレアス・シュトライハー
フランツ・アントン・ホーフマイスター
フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー
カルル・アメンダ
フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ma_non_troppo
5
ベートーヴェン自身が書いたものを読むことで、伝記的に誇張された点を検証し、必要に応じて理解を修正したかった。取り上げられた手紙の数は――編者自身も指摘している通り――多いとはいえないが、一通一通の手紙に対し、その背景の詳細が丁寧に載せられている点はとても参考になった。30代前半の作曲家が聾疾という未曾有の危機を「作曲する」という行為によって逆説的に受け容れた事実は、もはや地球規模の伝説だろう。でもそういう偉大な一面と裏合わせの、一人の小さな人間としての当たり前の表情が垣間見れたことが、何よりの収穫だった。2011/09/21
Timothy
4
ベートーヴェンが友人や恋人、版元に書き送った書簡のうち、その年の彼の様子がわかるものを選りすぐり、さらに丁寧な解説と註を付したもの。音楽史に輝く彼の偉大さや気難しげに眉間に皺した肖像画に阻まれて見えなくなっていた、彼のひたむきで繊細な人柄を感じられる。ベートーヴェンどころか音楽に疎い私ですら、本書を読んでいるうちにどんどん彼が好き、というよりもむしろ、愛おしい気持ちになっていった(笑) 2018/01/30
あいひさん
3
時間かかった。 ベートーヴェンもにんげんなんだね。 人間関係に、恋に、お金に、病気に、悩むんだね。2015/02/27
sidus
3
「耳が遠いということが、亡霊のごとく至るところで僕を脅かした。そして僕は人を避け、少しも人嫌いでないのに厭人主義者のように見えたに違いない。」2008/12/12
シンドバッド
2
恥ずかしい事ですが、『不滅の恋人』について初めて知った。さらに驚くことに、現代でも新資料が発掘され、研究している人が、この日本にもいる。 本書は、小松雄一郎の解説に意味がある。2014/08/28